最新記事

朝鮮半島

韓国・文大統領「米朝首脳会談成功すれば、南北米3者協議で終戦宣言も」

2018年5月27日(日)11時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


北朝鮮も南北会談を報道、米朝会談も初めて伝える

一方、北朝鮮側も27日、国営メディア朝鮮中央通信や労働新聞を通じて、27日の南北首脳会談について報道した。

朝鮮中央通信は「歴史的な第4次南北首脳の対面と会談が5月26日、板門店の私たち側の地域にある統一閣で電撃的に行われた。金正恩同志様が板門店統一閣にて文在寅大統領と再会して会談をされた」と伝えた。

さらに、「最高領導者同志は6月12日に予定されている朝米首脳会談に向けて多くの努力を傾けてきた文在寅大統領の労苦に謝意を表しながら、歴史的な朝米首脳会談に対する確固たる意志を披瀝された」と明らかにした。北朝鮮が米朝首脳会談が来月12日に開催されるという事実を報道を通じて公表したのは今回が初めてだ。

特に、同通信は、「最高指導者同志は、朝米関係の改善と朝鮮半島の恒久的、強固な平和体制構築のためにこれからも積極的に協力していく、と言われれた。金正恩同志と文在寅大統領は会談で議論された問題に対して満足した合意を見た」と強調した。

トランプを信用できない金委員長

26日の会談で互いの信頼関係を高めることには成功した南北首脳だが、一方で世界が注目する米朝首脳会談については、今だに不安要素があることも浮き彫りになった。金委員長がトランプを信頼できる人物か心配しているというのだ。

文大統領は、記者会見の質疑応答で「金委員長は、自分たちが非核化を実施した場合、米国が敵対関係を終息させ、体制を保障することについて確実に信頼できるかどうかに心配があると思う」と明らかにした。

文大統領は、米韓首脳会談でトランプ大統領が「北朝鮮が非核化を実施する場合、敵対関係を確実に終息させるだけでなく、経済的繁栄を手伝う意思がある」と表明した点に触れ、「米朝両国間に、両者が持っているこのような意志を伝えて直接対話を通じて相手の意志を確認することを促している」と強調した。

また記者から、来月12日に開催予定の米朝首脳会談が成功するかどうかを問う質問に対し、「米朝間で準備に向けた実務交渉がまもなく開始されるものと聞いている。議題に関する実務交渉がどれほど順調にいくかいかないかによって、米朝首脳会談が支障なく行われるか、また成功するかがかかっていると思う。米朝両国が、相手が何を望んでいるかを明確に認識するなかで会談の準備が推進されているため、実務交渉もまた6月12日の首脳会談も大丈夫だと期待している」と語った。

さらに、「米朝首脳会談が成功した場合、南北米3者首脳会談を通じて、朝鮮戦争終戦宣言が推進されたらいいという期待を持っている」と明らかにした。

仕切り直した文大統領、果たして米朝首脳会談は?

ほぼ1ヵ月前に劇的な南北首脳会談を成功させた文大統領としては、5月後半になって融和ムードが霧散しかねない状況が続いただけに、ここですべてリセットして、再び4月の南北首脳会談時に戻したいという思いがあるようだ。

だが、トランプ大統領も金委員長も、思いもつかない行動で相手に揺さぶりをかけ交渉を有利に運ぼうとする策士。このまま何事もなく6月12日に米朝首脳会談が開催されるかどうかは誰にも予想がつかない。

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    悪夢の光景、よりによって...眠る赤ちゃんの体を這う…
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中