最新記事

サッカー

「俺様野郎」ズラタンがアメリカ征服宣言

2018年4月18日(水)17時00分
エリック・ベッツ

3月31日のMLSデビュー戦で2ゴールを挙げたイブラヒモビッチ Robert Hanashiro-USA TODAY Sports/REUTERS

<ベッカム以来のビッグネームのMLS移籍にリーグ側の期待は大きいが、お騒がせ男は新しい環境に適応できるのか>

サイは投げられた。サッカー界で最も危険な傭兵だったズラタン・イブラヒモビッチが大西洋を渡り、全米征服を目指してMLS(米メジャーリーグサッカー)のロサンゼルス・ギャラクシーに入団した。

海賊とサムライをミックスしたような風貌を持つ195センチのスウェーデン人は、バレエダンサーを思わせる華麗なドリブルを繰り出し、格闘家のようにプレーする。

03年以来、2シーズンを除き全所属クラブでリーグ制覇(優勝を取り消されたユベントスを含む)。5カ国、6クラブでタイトルを獲得し、時に大胆不敵な、時に非常識なまでに型破りなゴールを決めてきた。

MLSにとって、10年以上前にアメリカに上陸したデービッド・ベッカム以来のビッグネーム。リスクの大きい契約という点でもベッカム以来だ(契約金額は比較的安かったらしいが)。

MLS移籍の動きが最初に報じられたのは16年夏。この時点なら、イブラヒモビッチは間違いなくMLS史上最高のタレントだった。当時はフランスのパリ・サンジェルマン(PSG)で50得点を決めたばかり。英ガーディアン紙が選ぶ世界のベストプレーヤー100人のリストで第7位にランクされていた。

年齢とけがが心配だが

だが、このときはイングランドのマンチェスター・ユナイテッド(マンU)に移籍。17年4月に前十字靱帯を損傷するまでに28ゴールを挙げた。翌シーズンも、けがのリハビリをしながら年明けまでマンUに残った。マンUは結局ベスト16で敗退したが、チャンピオンズリーグ優勝のチャンスがある間はチームを離れたくなかったのだろう。

イブラヒモビッチの移籍が、昨シーズンを最悪の成績で終えたギャラクシーの戦力アップに直結するかどうかはまだ分からない。しかしベッカムのときと同様、米サッカー界への貢献は純粋なプレーの面だけではないだろう。MLSは「あのズラタン」を獲得したのだ。超俺様気質のイカれたレジェンドを。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中