最新記事

ハッキング

アトランタの基幹システム、サイバー攻撃で「人質」に 紙と電話が頼みの綱

2018年4月5日(木)17時30分


昔ながらのアナログ手法

アトランタ警察では手書きの事件記録が復活しており、捜査用データベースの一部にはアクセスができなくなったと、カルロス・カンポス報道官は語る。影響を受けたファイルの内容は明らかにしなかった。

「データ管理チームが、これらシステムの通常運用と機能の回復に向けて勤勉に取り組んでおり、近い将来、ネットワークに再接続されるものと期待している」と同報道官は語る。週末までには警官によるデジタル形式での報告書作成が再開されつつあると語った。

一方、市職員の一部からは、状況が明らかにされず、コンピューターを起動しても大丈夫かどうか確信が持てない、と不満の声が聞こえてくる。

「何も知らされていない」と昼食休憩を取りに外出した職員は30日、苛立ちを口にした。

脆弱性

1930年に建設されたネオゴシック様式の構造にモダンで巨大なウィング(翼部)を増築したアトランタ市庁舎と同様に、市のコンピューターシステムにも新旧が混在している。

「地方自治体が脆弱なのは、あまりにも多くのシステムが混在しているからだ」とノーブル氏は語る。

アトランタ市は1月、サイバーセキュリティを巡る監査結果を公表。勧告された施策の実施に着手したところだった。この監査では、記録保管の改善と、テクノロジー担当職員の増員を求めていた。

シュック市会議員は、データ復旧のために市が負担するコストを懸念しつつも、今後の攻撃に備えるためのサイバーセキュリティ強化に向けた予算措置を支持すると述べた。

今のところ同議員のスタッフは、旧式ノートパソコン1台をその場しのぎで使い回しているという。

「ひどく手間取っている」と同議員は語る。「こんなふうにシステムが使えなくなるなんて、とても現実とは思えない体験だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中