最新記事

韓国社会

南北首脳会談フィーバー、小学生から拘置所の朴槿惠までクギ付けに? 平壌冷麺には長蛇の列

2018年4月27日(金)18時07分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

イベント好きな韓国の人たちは南北首脳会談をそれぞれの立場から見つめた。写真は板門店に向かう文在寅大統領を見送りにきたご婦人。REUTERS/Jorge Silva

<これで3度目となる南北首脳会談。韓国国民もさすがに醒めた目で見ていると思いきや、熱しやすく冷めやすい国民だけにさまざまな形で世紀のイベントに熱狂した>

10年6カ月ぶり、3度目のとなる南北首脳会談。韓国では朝から地上波3局を含め、多くのテレビが文大統領が大統領府を出発する前から生中継で報じた。韓国メディアNEWS1などが伝えるところでは、韓国全土で南北首脳会談の行方を見守る人びとが見られた。

朝鮮戦争によって北朝鮮にある故郷を捨てて韓国に移り住んだ郷里を喪失した老人たちも首脳会談のテーブルを囲んだ両首脳の姿を見守っていた。その一人、キム・ソンヨン氏(咸鏡南道出身・85歳)は朝鮮戦争のときに18歳で、一人で韓国に渡ってきたと言う。

「テレビに映った金正恩委員長の話を聞いていると明日にでも故郷に行くことが出来そうな気がする。今では変わってしまっただろうが、それでも故郷にもう1度行って、家族にも会ってみたい」

停戦から65年経っても1度も故郷に帰っていないキム氏は離散家族再会の機会と連絡事務所の設置などが実現することを期待していると言う。

歴史の1日を授業で見た小学生たち

一方で、こうした南北の歴史を直接は知らない若い子供らもこの様子を見つめていた。

仁川西区のカウォン小学校の教室で南北の大統領が握手する様子を見たイ・ジュンヒョク君は「これで戦争の危険が消えて統一したらいいですね。文在寅大統領と金正恩国務委員長が両手を取り合って、軍事境界線を越える場面を見たときは胸がジンとしました」と話した。

担任のソク・ヒェジン教諭は「子供たちが以前はあまり分かっていなかった南北関係について関心をもつようになったようだ。今回のことを契機に子供らが正しい歴史観をもって南北を見つめて欲しい」と話す。

仁川教育庁は26日に小中高校に対して、首脳会談の中継について試聴するかどうかを学校長の裁量に一任すると通知していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ヘッジファンド大手、4月も好成績 株式波乱でボラ活

ワールド

トランプ氏、銃団体の支持獲得 バイデン氏の規制撤廃

ビジネス

日経平均は小幅続落で寄り付く、ハイテク株安い

ワールド

コンゴでクーデター未遂、首謀者殺害・米国人含む50
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 7

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 8

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中