最新記事

移植手術

世界初のペニスと陰のう移植手術が成功、性機能も戻る

2018年4月24日(火)15時00分
デーナ・ドビー

移植手術は大掛かり。ヘソの下まで大きく切開する HopkinsMedNews/TWITTER

<移植を受けたのは戦争で爆弾を踏んだ米軍兵。ドナーの素性と死因は伏せられている>

アフガニスタン戦争で負傷したアメリカ兵に対し、ペニスと陰嚢の両方を移植する世界初の手術が行われた。実施したジョンズ・ホプキンス大学医学部は4月23日、手術が無事に成功したことを発表した。

ペニスの移植手術は世界でこれまで3度行われたが、ペニスだけでなく陰嚢も移植されたのは今回が初めてだ。患者は米軍の匿名の軍曹。USAトゥデー紙によれば、世界初となる今回の手術は3月26日に、メリーランド州にあるジョンズ・ホプキンス大学医学部で行われた。

手術は14時間におよび、形成外科医9名と泌尿器専門外科医2名の協力を要した。ドナーの身元と死因は報じられていない。ガーディアン紙によると、ドナーの睾丸は倫理上の問題から移植されなかった。

患者は、アフガニスタンで爆弾を誤って踏んで負傷した。伝えられるところによると、患者は移植された新しい身体の一部に満足しているという。「目を覚ましたとき、自分はようやく普通に戻れた、もう大丈夫だと感じた」と、彼は述べている。

性機能も取り戻せる

患者は数日中に、新しいペニスで排尿できるようになる見込みだ。しかし、移植されたペニスの神経が再生して感覚を得られるようになるまではもっと時間がかかる。医師によれば、新しいペニスが性機能を取り戻すには6カ月程度かかるという。

USAトゥデイ紙によると、今回の臓器提供をコーディネートした「ニューイングランド・ドナー・サービス」のアレキサンドラ・グレイザー最高経営責任者(CEO)は声明で、患者に対し、「臓器を提供した故人は、あなたに特別な贈り物をできたことを知ればきっと誇りに思うことでしょう」と呼びかけた。「できるだけ早く健康を取り戻せますように。速やかな回復を心からお祈りします」

手術は大がかりなもので、ペニスと陰嚢だけでなく、腹部を広範に覆う皮膚ごと移植が行われた。外科医はまた、動脈3本、静脈4本、神経2本をつながなくてはならなかった。新しいペニスと陰嚢に対して拒絶反応が起こるリスクを下げるために、患者にはドナーの骨髄も移植された。患者には今後も免疫抑制剤が必要になるが、投薬量は通常よりもずっと少量だという。

(翻訳:ガリレオ)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

香港GDP、第3四半期は前年比+3.8% 予想上回

ワールド

北朝鮮の金永南・前最高人民会議常任委員長が死去、9

ワールド

高市首相、来夏に成長戦略策定へ 「危機管理投資」が

ワールド

マクロスコープ:国会本格論戦へ、立憲は消費減税で攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中