最新記事

ペット

ユナイテッド子犬死亡の教訓、愛犬を死なせないために知るべきこと

2018年3月16日(金)16時00分
ジェフ・フリードリヒ

ユナイテッド航空機の荷物入れに入れられて死亡した子犬 Wochit News/YOUTUBE

<ユナイテッド機の荷物入れで子犬を窒息させてしまった事件の後、アメリカでは「なぜ救えなかったのか」の議論が巻き起こっている。だが機内トラブルは、スーパーやレストランのトラブルとは訳が違う。飛行機の客室乗務員は安全最優先で、ときに警官のような強制力をもっているからだ>

今週12日、米ユナイテッド航空の国内便で、客室乗務員の指示で、フレンチブルドッグの生後11カ月の子犬をケージに入れて頭上の荷物入れに入れておいたところ、到着までに死亡してしまうという悲劇が起きた。

ネット上ではたちまち「もし同じ指示をされたらどうする?」と大論争が巻き起こった。なぜ飼い主は指示に従ってしまったのか、なぜ飛行機を降りなかったのか、周りの乗客は何をしていたのか......。

まず、乗務員の指示に従ってしまった飼い主の事情も考慮しよう。報道によれば、彼女は何度も抗議し懇願したが英語が達者ではなく、子犬のほかに11歳の娘と生まれたばかりの赤ちゃんも連れていた。子供のほうにも気を取られていたかもしれない。

たとえそうだとしても、スーパーやレストランへの苦情と同様、クレームをつければ思い通りになりそうなものだと考える人も多い。航空会社も表面的にはにこやかに挨拶するし、日頃から顧客第一と言っているからだ。

簡単に救えると思うのは甘い

しかし飛行機内でのクレームは根本的に他のサービスと違う。客室内は、安全最優先で最悪の事故を想定した、厳格な規則で縛られている。普段は大して気にもならない規則だが、いざ機内トラブルが起こったときは、サービスをめぐるやりとりが、まるで警察官との言い合いのように変化してしまう。機内トラブルが消費者にとって難しいのはそこだ。

それでは、ペットの子犬が死にそうな時に、乗務員との議論に勝つためにはどうすればいいのか? 元客室乗務員として、いくつかアドバイスしたい。

▼声を上げること(ただし限度をわきまえて)

今回のケースでは、例え乗務員の指示が誤りだったとしても、飼い主が子犬をコンパートメントに入れることを拒否すれば、飛行機から降ろされていたかもしれない。乗務員の指示に従わないと、犯罪になってしまう規則だからだ。乗務員の指示を拒否する乗客は、安全上の脅威とみなして航空会社は搭乗を拒否できる。

しかしそれでも声は上げるべきだ。大事なのは冷静さを保つこと。航空法に詳しい専門家は「乗務員に反論することは許されているが、業務を妨害しないようにしなければならない」とアドバイスしている。

乗務員がどうしても指示を曲げないなら、チーフパーサーと話すことを要求しよう。パイロットと話そうとするのはやめた方がいい。パイロットは、操縦を優先して客室内のトラブルは客室乗務員に任せるよう訓練されている。

そして、抗議するのではあれば飛行機がゲートにいる間の方がいい。空港に常駐する、航空規則に精通したトラブル解決担当の航空会社スタッフが対応してくれる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ネット中立性規則が復活 平等なアクセス提供義務

ワールド

ガザ北部「飢餓が迫っている」、国連が支援物資の搬入

ビジネス

午前の日経平均は151円高、米株先物しっかりで反発

ワールド

英国民200万人がコロナ後遺症=国家統計局調査
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中