最新記事

中間選挙

テキサス州予備選、民主党が好調な滑り出し──トランプへの反対票か

2018年3月8日(木)14時30分
グラハム・ランクツリー

トランプの応援が裏目に

「われわれはすべての選挙区に候補者を立てている。つまり、これまで長年、民主党の主張を聞く機会がなかった有権者にも声が届くということだ」と、テキサス州民主党のジルベルト・イノホサ委員長はAP通信に語った。「11月の本選でその成果が出るだろう」

白人有権者のうち、教育レベルが高い層は民主党支持に回っていると、ボニアーは指摘する。こうした支持に支えられ、民主党は昨年、ジョージア州の下院補欠選で善戦し、バージニア州とニュージャージー州の知事選で勝利した。

テキサス州の民主党陣営を活気づけた「功労者」はドナルド・トランプ大統領だ。トランプは2月末、テキサス州予備選に向けクルーズら共和党候補を推す応援ツイートをしたが、これが裏目に出た格好だ。

3月7日に発表されたポリティコ/モーニング・コールの世論調査では、トランプの支持率は、20年の大統領に出馬する民主党候補(誰かは特定されていない)よりも8ポイント低かった。

多数党復帰の公算は

トランプの減税、歳出引き上げ、さらに提案されている福祉カットは、すべて有権者の選択に影響を与えると、ボニアーは言う。「有権者はいわばジョークの意味が分かり始めたのだ。トランプのツイートや記者会見での思いつき発言ではなく、彼が実際にやることを慎重に見きわめ始めている」

クルーズは銃規制反対派の票をつかもうと、6日夜のラジオ放送で、対立候補のオルークが2月にフロリダ州の高校で起きた銃乱射事件について、AR-15のような攻撃型武器の禁止を呼び掛けたことを取り上げ、彼は「われわれから銃を取り上げたがっている」と州民に警告した。

民主党の投票数が大幅に増えたといっても、テキサス州の共和党上院予備選に投票した人のほうが、民主党の予備選に投票した人よりまだ5万人余り多い。

民主党が下院で多数党に返り咲くには、中間選挙で24議席増やす必要があるが、テキサス州がこれに貢献するのは難しいとの見方もある。

伝統的に共和党が強いレッド・ステート(赤い州)であるテキサスで「民主党の投票者数の増加が共和党を上回っただけでも大変な事態で、共和党は焦っているはずだ」と、サザン・メソジスト大学の政治学者カル・ジルソンはFOXニュースに語った。

だが、テキサスが民主党の強いブルー・ステート(青い州)になるには、「この程度では足りない」。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、カタール首相と会談へ ガザ停戦巡り=ア

ワールド

米ウェイモ、ロボタクシー走行距離1億マイル達成 半

ワールド

中国、自然災害で上半期76億ドル損失 被災者230

ワールド

米国連大使候補ウォルツ氏、指名公聴会で対中強硬姿勢
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 5
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 6
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 7
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 8
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 9
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 10
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中