最新記事

米朝関係

トランプ政権のユン北朝鮮担当特別代表が退任へ

2018年2月27日(火)16時16分

2月27米国務省のナウアート報道官は声明を発表し、ジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が個人的な理由で退任すると発表した。写真は昨年12月にタイのバンコクを訪れる同特別代表(2018年 ロイター/Jorge Silva)

米国務省はジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が3月2日付で退任すると発表した。米朝関係を巡っては、北朝鮮が対話に前向きな姿勢を示唆し始めている。

国務省のナウアート報道官は声明でユン氏の退任を発表。ティラーソン国務長官が「ユン氏の決定をしぶしぶ受け入れた」と明らかにした。

韓国生まれのユン氏は2016年、オバマ政権下で北朝鮮担当特別代表に就任。米朝の直接対話を水面下で模索してきた。北朝鮮当局に拘束された米国人学生オットー・ワームビア氏を解放するために昨年6月に訪朝している。

ユン氏は米メディアに対し、退任は個人的な決断だとし、ティラーソン長官から慰留されたと説明。「このタイミングでの退任は完全に自分自身の決定だ」と述べた。CBSのインタビューには「北朝鮮は核・ミサイル実験をやめた」と語った。

ロイターのコメントの求めには応じていない。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米国と北朝鮮に対し、対話実現に向けて譲歩するよう要請。トランプ米大統領は、北朝鮮との交渉は適正な状況下のみで行うと述べている。

過去に米国防副次官補(東アジア担当)を務めたエイブラハム・デンマーク氏はツイッターで、ユン氏の退任が「重要な時期にある米政府にとって非常に大きな損失となる」との考えを示した。

一方、トランプ政権内からは、ユン氏の対話路線は大統領の方針と一致していなかったため、退任を惜しまれることはないとの声も上がる。

ナウアート報道官は会見で「誰かの退任で政策が変わることはない」と発言。ユン氏の仕事は「適任者が引き継げると確信している」と語った。

韓国外務省はユン氏の退任の意向を認識していたとし、「(韓国政府は)北朝鮮担当特別代表としてユン氏が果たした役割を高く評価する」とした。

[ソウル/ワシントン 27日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪中銀、カード決済に課されるサーチャージの廃止を提

ビジネス

日経平均は4日ぶり反発、AI関連堅調 金利上昇は上

ワールド

中国、「中央都市工作会議」10年ぶり開催 都市開発

ビジネス

午後3時のドルは147円半ばで上昇一服、米CPI控
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 10
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中