最新記事

南北合同チーム

2度と会えない?南北合同チーム涙の別れ「北の友はフェイスブックも使っていない」

2018年2月27日(火)16時45分
ソフィア・ロット・ペルシオ

平昌オリンピックも終わり、北朝鮮に帰る選手団(2月26日) Kim Hee-Chul-REUTERS

<また会えると思えれば心も軽くなるのに、南北朝鮮の距離はあまりに遠い>

平昌冬季オリンピックに出場した女子アイスホッケーの韓国と北朝鮮の南北合同チームは2月26日、北朝鮮選手12人が帰国の途につく際、抱き合って涙を流しながら別れを惜しんだ。再会できるかどうかは、わからない。

1カ月にわたって統一旗を掲げて韓国で練習し、試合に臨んできた北朝鮮の選手たちは、北朝鮮から派遣された300人を超える選手や応援団、記者たちとともに国境へ向かった。

ヘッドコーチを務めたサラ・マリーは、2月25日、中国国営放送CGTNのインタビューで南北合同チームと過ごした日々を振り返り、、合同チーム結成が決まった当初は、スタッフや選手も抵抗を覚えた、と振り返った。

「でも、北朝鮮の選手たちと一緒に練習するようになってから、彼らがどんなにアイスホッケーを愛しているかがわかった。私たちも北朝鮮選手が好きになり、チームの一員として歓迎したいという思いがわいてきた。3~4日後には、このチームが新しい家族であり、オリンピックでともに戦うチームだという気持ちになった」

(韓国北東部の江陵オリンピック選手村で別れを惜しむ南北のアイスホッケー選手)

北朝鮮のアシスタントコーチを務めるパク・チョルホも、南北合同チームという試みに前向きな感想を残した。2月26日記者団に対し、「およそ30日にわたってオリンピックを経験してきた結果、北朝鮮と韓国が一緒になればどんなことでも可能だと感じている」と述べたのだ。

せっかく育んだ友情が

26日の別れに流された涙が、その絆の強さを物語っている。韓国女子アイスホッケー選手のチェ・ジヨンは別れ際、北朝鮮の各選手のために、ともに過ごした数週間に撮りためた写真をプリントし、手紙とともに渡した。

チェ・ジヨンは、「元気で病気をしないように。そしてまた会おう、と伝えた」と、AP通信に語った。別れをいっそう悲しいものにするのは、再会の可能性が見えないことだ。「連絡を取り続けることができて、また会える可能性もあるのなら、もっと気が楽になる。でも、彼女たちには二度と会えないかもしれない」

(北朝鮮に帰る北朝鮮選手団と応援団)

アメリカ出身の韓国選手ランディ・グリフィンも、2月21日の記者会見で、北朝鮮のチームメイトとの交流は続かないのではないかと不安を口にした。グリフィンは、選手村のマクドナルドで北朝鮮選手と一緒に「マックフルーリー・オレオ・クッキー」を食べた思い出を語りつつも、韓国と北朝鮮の両国政府が、国民の行き来を禁じていることに懸念を表明した。

「北朝鮮の選手は誰もフェイスブックを使っていない。連絡を取り合うのは難しいと思う」と、AP通信に語った。

2月26日には、北朝鮮選手を見送るためにコーチのマリーも姿を見せ、近いうちに再び南北合同チームを結成しようという話について、詳しいことは何も決まっていないと述べた。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    悪夢の光景、よりによって...眠る赤ちゃんの体を這う…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中