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米国の医療関係者向け「死体実習」 会場は高級リゾートホテルの宴会場

2018年1月10日(水)12時00分

写真は、米ニュージャージー州のホテルで開かれた鎮痛剤関連のシンポジウムの一環の死体実習会場に置かれた、死体運搬用のクーラーボックス。2017年10月、ニュージャージー州ジャージーシティで撮影(2017年 ロイター/Elizabeth Culliford)

その「手術劇場」となった会場のすぐ外にいた医学会議の主催者は、ミニー・マウスの耳を頭に着けていた。

会場内では、医師たちが3体の人間の死体を使って実演していた。1体を包んだ何重もの包装の間から、血液がしみ出していた。「漏れるんだ」と、実験技術者が死体を指して言った。

ロイター記者も出席したこのセミナーが11月に実施されたのは、病院や医科大学ではなかった。それは「死体実習」と呼ばれるセミナーの一環として、フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールドリゾートにある施設で実施された。

過去6年間に、同様のイベント数十件が、米国各地のホテルやその会議場で開かれている。

今回のセミナーはヨット&ビーチクラブ・リゾートのコンベンションセンターにある宴会場を使って、医師が神経根ブロックなどの技術の実演を実際の死体を使って行った。ホームページ上でディズニーは、この宴会場について「豪華でまばゆい」と表現しており、普段は結婚式のレセプションに使われるという。

ディズニーは、コメントの求めに応じなかった。

米国では医学実習は通常、専用設備を備え、厳重に管理された実験施設で行わる。だが、常にそうではない。

ロイターは2012年以降、ニューヨークからサンディエゴまで全米数十都市のホテルやその会議場で開かれた、少なくとも90件の「死体実習」を特定した。ホテル大手のヒルトンやハイアット、シェラトンやラディソンが会場として使われていた。

こうしたセミナーで使われる死体は通常「ボディーブローカー」から入手する。ボディ―ブローカーとは、研究のために献体された死体を入手し、医学研究や訓練のため死体の部位を転売したり貸し出したりする組織だ。彼らは一般的に、自らを「移植目的ではない組織バンク」と称している。

だが、これは政府が厳しく管理する移植用の臓器や組織を提供する業界とは完全に異なるものだ。ディズニーの会議場で実演に使われていたような、研究や教育目的の死体やその部位について、販売や貸し出しを規制する連邦法はない。業界は、事実上、野放しの状態だ。

同様に、死体や人体の部位を扱うセミナーが開催される場所についても、規制はほとんどないが、実験教室での医療廃棄物や血液を媒介する病原体の取り扱いについては、連邦政府が規制している。

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