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中南米

女性の時代の終焉? 右傾化する中南米で女性元首が消える意味

2018年1月7日(日)12時45分

ピザロペス氏は、2007─2015年にアルゼンチン大統領を務めたフェルナンデス氏について、女性を対象とする寛容な社会政策プログラムを通じて、男女間の貧困格差を縮める効果を上げたと話す。

駐チリ欧州連合(EU)代表部のステラ・ゼルウダキ代表は、バチェレ大統領による女性省の創設や、女性が経営する会社に対する交付金プログラム、結婚の平等を推進する政策などを挙げ、「女性が指導者でなければ、これほど強力なものになったと思えない」と語った。

またバチェレ大統領が、EUとの通商協定の改定交渉で、男女の賃金平等や、育児休暇取得の平等、テクノロジーへの女性のアクセス改善などを盛り込んだジェンダーに関する章に力を入れたことを指摘した。

汚職スキャンダル

大統領が汚職スキャンダル陥ることの多い地域で、南米の女性指導者は名誉ある例外とはなっていない。

ルセフ氏は2016年、国家予算関連法を操作したと認定されて罷免され、その後収賄で訴追された。

アルゼンチンでは、今は上院議員となり収賄容疑で捜査を受けているフェルナンデス氏が、1994年の爆発事件へのイラン関与を隠ぺいしたとして反逆罪で訴追された。

両名とも容疑を否定している。ルセフ氏は最近、ブエノスアイレスにあるフェルナンデス氏の自宅を訪ねて励まし、自らの罷免手続きにも女性差別の要素があったと発言した。

ブラジルの保守派大統領テメル氏は、ルセフ氏の退陣後、全閣僚に男性を指名。ルセフ氏が罷免された時には、議員が「さよなら、かわいい人」と書かれたプラカードを掲げた。

ピニェラ氏は18日、「女性と男性」で閣僚を組むと表明し、男女バランスのとれた政権作りを示唆した。第1次政権メンバーが男女同数だったバチェレ氏を手本としたのかもしれない。

バチェレ氏自身の支持率は、義理の娘が銀行融資を確保するのに政治的なコネを使った疑いが浮上して以来、低迷していた。

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