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エンタメディズニー、FOX買収で動画配信市場に殴り込み
新会社の経営統合の指揮を執るウォルト・ディズニーのローバート・アイガーCEO Gary Cameron-REUTERS
<来年動画配信サービスを始める予定のディズニーの相次ぐコンテンツ買収は、先行するネットフリックスやアマゾンの脅威になる>
米メディア大手ウォルト・ディズニーは、同業の21世紀フォックスの映画やテレビなどのエンタメ部門を、総額661億ドル(7兆4000億円)で買収することで最終合意した。ディズニーと「メディア王」ルパート・マードック率いるフォックスの大事業は今後、独禁当局の認可を待って来年夏ごろに完成することになる。
交渉は数週間前から進んでおり、ディズニーが12月14日にホームページ上で発表した。フォックスは、FOXブロードキャスティングやFOXニュース、FOXスポーツなどのニュース・スポーツ部門は売却せず、スピンオフ(分離・上場)する計画。ディズニーのロバート・アイガーCEO は2019年に退任する予定だったが、任期を2021年まで延長する。マードックが、円滑な経営統合を指揮してくれるよう要請したという。
フォックス買収によってディズニーは、映画スタジオの20世紀フォクスやナショナル・ジオグラフィック、有料放送番組FX、地方スポーツチャンネルを獲得。英衛星放送スカイと動画配信のHuluの株式も取得する。人気映画の『Xメン』や『アバター』、人気ドラマの『ジ・アメリカンズ』、『ディス・イズ・アス』、『モダン・ファミリー』など、フォックスが持つ多様で収益性の高いコンテンツも傘下に収める。アニメ『シンプソンズ』の主人公一家も、ディズニー・ワールドに引っ越しだ。
アベンジャーズにデッドプールが出演?
また、2本の続編が予定されているジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター』シリーズがディズニーの傘下に入ることにより、全米歴代興行収入の上位5作品のうち3作品をディズニーが保有することになりそうだ。1位の『スターウォーズ/フォースの覚醒』、2位の『アバター』、5位の『アベンジャーズ』だ(4位は米パラマウントの『タイタニック』、5位は米ユニバーサル・ピクチャーズの『ジュラシックパーク』)。
ディズニーは来年、動画配信サービスを始める予定。今度の買収で、動画配信会社Huluの過半数の株式も手にする。いずれディズニーは、先行する動画配信大手の強力なライバルになるだろう。ネットフリックス、アマゾン、グーグル、フェイスブックにとっては脅威だ。
拡大を続ける娯楽帝国ディズニーの意図を怪しむ人もいる。だがマーベルコミックのファンにとって、この買収劇は朗報だ。今はバラバラのスタジオが所有するアベンジャーズ、Xメン、デッドプールなどのスーパーヒーローたちがまとめてディズニー傘下に入るからだ。
そう、アベンジャーズの映画にデッドプールが登場する日も来るかもしれない。ただし「"R指定"ヒーロー」のデッドプールが、ディズニーにふさわしいと判断されればの話だが。
(翻訳:河原里香)