最新記事

スペイン

カタルーニャ独立、自治権停止時のカギ握る州警察の動き 

2017年10月27日(金)18時41分

スペイン政府と独立推進を目指す州指導者との数カ月に及ぶ対立は、州警察内部の士気を徐々に低下させてきた。警察官や組合関係者によれば、独立反対派の警官数百人が辞職しようとしているという。一部には、独立支持派の同僚たちから疎外されているという不満もある。

全国規模のARP警察官組合を率いるルイス・ミゲル・ロレンテ氏によれば、約200人のカタルーニャ州警官が、国家警察への入隊方法についての情報を求めて同組合に問い合わせてきたという。

カタルーニャ州では独立支持派・反対派双方による数十万人規模に上る街頭での抗議行動が発生しており、スペイン政府はカタルーニャ州に約4000人の警察官を増派している。

増派された警察官らはバルセロナ港に停泊する2隻のクルーズ客船に宿泊している。1隻には、マンガのキャラクターである黄色い鳥の「トゥイーティー」と猫の「シルベスター」のペインティングが施されており、「トゥイーティー」は独立支持の活動家数人により独立運動のマスコットとして採用されるに至った。

住民投票の参加者は圧倒的に独立を支持したが、スペイン残留を望むカタルーニャ人はもっぱら投票をボイコットしたため、投票率は約43%にすぎなかった。独立派は、住民投票の結果によって国家としての独立が信認されたと述べている。

スペインは、独裁者フランシスコ・フランコの死により、1975年にようやく民主主義を取り戻した。フランコ体制下でカタルーニャの言語・伝統は抑圧されていた。

準備万端

これまでの独立運動は平和裏に行われてきたが、今回の住民投票で明らかになったように、独立を阻止するために、独立派の多くが軽蔑する国家警察を中央政府が動員すれば、対立はあっというまにエスカレートする。もし州警察が再び静観するならば、国家警察が再び介入するだろうと中央政府の高官は指摘する。

スペイン上院がラホイ首相の計画を承認するまでは、引き続きカタルーニャ政府が自治権を握っており、挑戦的な態度を崩さないカタルーニャ政府は今週、州警察を含む州の公務員は、引き続き州政府及び州議会の指示に従うだろうと述べた。

これにより、プッチダモン州首相や州議会議員らがオフィスを離れることを拒否したり、彼らの支持者がオフィスを占拠することで抵抗を支えたりする懸念が生じている。

内務省の当局者によれば、中央政府はカタルーニャ州警察の上層部を入れ替えるだけでなく、州政府の主要建物から州警官を移動させ、代わりに国家警察を配備するという。

州警察と国家警察の関係は現在、最悪の状態にあり、新たな共同捜査などは、まったく開始されていないという。

(翻訳:エァクレーレン)

Angus Berwick and Sonya Dowsett

[バルセロナ 24日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国、原油高で一般車も運転規制検討 燃料税追加引き

ワールド

イスラエル、イランがミサイル発射と表明 イエメンか

ワールド

ロシア、経済スパイ理由に英外交官を追放

ワールド

基調物価「2%に近づいている」、コア指標など3手法
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカートニー」を再評価する傑作映画『マン・オン・ザ・ラン』
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 6
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中