最新記事

中国共産党

情報が漏れた新チャイナ・セブンのリスト予測

2017年10月24日(火)11時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

第19回党大会、この中で残るのは誰か?  Jason Lee-REUTERS

党大会では中共中央委員会委員と候補委員および中共中央紀律検査委員会委員の差額選挙をするための候補者リストが党大会代表に配られたため、一部の情報が漏れてしまった。新チャイナ・セブンのリストを予測する。

閉幕前に行われる差額選挙

24日には第19回党大会が閉幕するが、その前に中共中央委員会委員と候補委員および中共中央紀律検査委員会委員の差額選挙(何パーセントかの候補者が落選する)を行なう。その選挙のための候補者リストが約2300名に及ぶ党大会代表に配られた。そのため候補者リストの一部情報が漏れてしまったという。

それによれば、王岐山(69歳)の名前は中共中央紀律検査委委員会の候補者の中だけでなく、中共中央委員会委員の候補者リストの中にもなかったという。ということは、王岐山は新チャイナ・セブンの中で中央紀律検査委員会書記から降りたということになり、新チャイナ・セブンにも残らないことを意味する。これまで筆者が予測してきたことが正しかったことになる。

25日には、選ばれた中共中央委員会委員から成る第一回目の全体会議(一中全会)が開催され、遂に中共中央政治局委員(25名)と中共中央政治局常務委員会委員(7名。チャイナ・セブン)がノミネートされたリストに沿って「賛否形式」で選ばれることになる。
(なお、チャイナ・セブンの選挙のほかに、このとき中共中央軍事委員会委員に関しても、同様の選挙が行われる。ここでは考察の対象でないので省く)

習近平、李克強はこれまで通り

これまで述べてきたように、政権交代における党大会でないと、中共中央政治局常務委員会委員の数を変える可能性はあまりない。したがって今回も7人で、「チャイナ・セブン」であり、それがたとえば5人になるという可能性はない。

メンバーに関して言うならば、党内序列ナンバー1が習近平(中共中央総書記、国家主席、中央軍事委員会主席)でナンバー2が李克強(国務院総理)であることにも変化はない。

これは非常にノーマルな形で、残りの5人が候補として挙がっている。ただ、人名は同じだが、職位や党内序列に関しては二つのヴァージョンがあるので、その各々を見てみよう。

5人のリスト:version1

一つ目は以下の通りだ。党内序列は不確定要素が大きいので省く。

●栗(りつ)戦書(中共中央弁公庁主任)が全国人民代表大会委員長に。

○汪洋(国務院副総理)が国務院第一副総理に。

●王滬(こ)寧(中共中央政策研究室主任)が中央書記処常務書記・イデオロギー担当に。

●趙楽際(中共中央組織部部長)が中共中央紀律検査委員会書記に(中共中央紀律検査委員会候補者名簿の中に入っていたことが推測の根拠)。

○韓正(上海市書記)が政治協商会議主席に。

というリストである。このversionは香港の南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)なども伝えている。

5人のリスト:version2

二つ目のリストは以下の通りだ。同様に党内序列は省く。

●栗(りつ)戦書(中共中央弁公庁主任)が全国人民代表大会委員長に。

○汪洋(国務院副総理)が全国政治協商会議主席に。

●王滬寧(中共中央政策研究室主任)が中央書記処常務書記・イデオロギー担当に。

●趙楽際(中共中央組織部部長)が中共中央紀律検査委員会書記に。

○韓正(上海市書記)が国務院第一副総理に。


汪洋と韓正の役割が異なるため、●ではなく、○で表示した。

しかしversion2の場合、韓正が第20回の党大会の次の年の全人代で国務院総理になってしまう。そんな構図があり得るだろうか?考えにくい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ新首相、通貨高問題で緊急対応必要と表明

ワールド

米政権、コロンビアやベネズエラを麻薬対策失敗国に指

ワールド

政治の不安定が成長下押し、仏中銀 来年以降の成長予

ワールド

EXCLUSIVE-前セントルイス連銀総裁、FRB
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中