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ハリポタ人気で世界が直面するフクロウ問題

2017年8月23日(水)17時45分
松丸さとみ

人気が一回りした本国ではフクロウ遺棄

一方ハリポタが生まれた英国では、面倒を見きれなくなった飼い主によるフクロウ遺棄が2012年に問題になっていた。当時のミラー紙によると、ハリポタ・シリーズ最後の映画が公開された2011年からフクロウ人気が陰りを見せ始めた。

英国でフクロウをペットとして飼うことは合法で、簡単に売買できる。しかしフクロウ飼育には広いスペースが必要で、またお金もかかる。フクロウの寿命は20年ほどと長いこともあり、ハリポタの影響からフクロウを飼い始めたはいいが、面倒を見きれなくなって手放す人が多いようだ。野生に逃がされたフクロウはかなりの数になるとみられているが、フクロウを野生に放つのは違法行為で、6カ月の禁固刑か5000ポンド(約70万円)の罰金が科せられる。そのため保護施設に引き渡す人も多く、保護施設はフクロウで溢れているという。

このような状況を受け、ハリポタ・シリーズ著者のJ・K・ローリングは当時、声明を発表するに至ったほどだ。「私の本の影響から、家の中の小さな鳥かごに閉じ込められてフクロウが満足すると考えている人がいたら、それは間違いだ、と強く言いたい」と述べ、自分で飼うより保護施設のフクロウのスポンサーになった方が、フクロウに会いに行けるし幸せで健康的な暮らしを与えてあげられる、と訴えていた。

【参考記事】シャチがホホジロザメを餌にし始めた
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