最新記事

日本社会

婚外子が増えれば日本の少子化問題は解決する?

2017年7月13日(木)15時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

日本でも2013年の民法改正により、遺産相続での婚外子の差別規定は撤廃されたが、社会的な偏見はまだまだ強いのが現実だろう。

なお、各国の婚外子の割合と出生率には相関関係が認められる。横軸に婚外子の割合、縦軸に合計特殊出生率を取った座標上に、両方が分かる35カ国を配置すると<図2>のようになる。「瑞」は、スウェーデンを指す。

maita170713-kongai-chart02.jpg

データのばらつきはあるが、2つの指標の間にはプラスの相関関係が見られる(相関係数は+0.5053)。おおむね婚外子の割合が高い国ほど出生率が高い傾向にある。

これが因果関係を意味するとは限らないが、結婚(法律婚)をしなくても子を産める選択肢が開けている国ほど出生率が高い、というのは道理だ。2005年の『国民生活白書』では、「欧米諸国においては、法律婚以外の形での結び付きが一般化していることや、それに伴う婚外子の出生率が高くなっていることなどが、合計特殊出生率の低下に歯止めをかける要因となっている」と指摘されている。

「結婚は望まないが子どもは欲しい」。こういう考えの女性は日本でも結構いる。20代の未婚女性の18.3%がこうした考えを持っている(内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』)。20代の未婚女性数にこの比率を乗じると約80万人になる。もしこれらの女性が出産に踏み切ったら、出生数は一気に倍増し,第2次ベビーブームの頃に匹敵する数になる。

【参考記事】今後の日本の命運を握る若年層が急減少

いろいろと「縛り」が生じる結婚(法律婚)をしなくても、子どもを産む育てることが現実的になれば、少子化問題は解決するかもしれない。対策としては、事実婚のカップルに法的保護を与えたり、シングルの親への経済的支援を手厚くしたりすることが考えられる。少子化に歯止めがかかるならそのコストは十分回収されるだろう。

少子化の原因は未婚化という認識のもと、各地で「婚活」の取り組みが実施されているが、結婚と出産をセットで考える必然性はない。発想を転換する時期に来ている。

<資料:OECD「Family Database」
    厚労省『人口統計資料集2017』

ニュース速報

ワールド

アングル:1942年の日本軍ダーウィン奇襲 静かに

ワールド

焦点:ベイルート大爆発の謎、硝酸アンモニウムは「所

ワールド

アングル:聖域「王室」にも、タブーに挑むタイ若者の

ビジネス

米アップル、iOSアプリ手数料減免を拒否=FB

MAGAZINE

特集:人生を変えた55冊

2020-8・11号(8/ 4発売)

コロナ自粛の夏休みは読書で自分を高めるチャンス──世界と日本の著名人が教える「価値観を揺さぶられた本

※次号は8/18(火)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    マオリ語で「陰毛」という名のビール、醸造会社が謝罪 

  • 2

    モーリシャス政府が賠償請求 座礁事故「わかつき」の長鋪汽船に

  • 3

    「元徴用工」の主張に違和感を感じる人たち

  • 4

    「韓国・文在寅の最低賃金引き上げは失策」説を信じるな…

  • 5

    相模原障害者殺傷事件、心底恐ろしい植松聖死刑囚の…

  • 6

    ベトナム、日本には強硬だが、中国には黙る韓国政府…

  • 7

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪…

  • 8

    NTT-NEC提携「5Gでファーウェイに対抗」の嘘

  • 9

    日本が国安法の対象になりつつある香港民主派逮捕と…

  • 10

    北朝鮮、寧辺の核関連施設が洪水で被害か=38ノース

  • 1

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 2

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる

  • 3

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 4

    マオリ語で「陰毛」という名のビール、醸造会社が謝…

  • 5

    「元徴用工」の主張に違和感を感じる人たち

  • 6

    モーリシャス政府が賠償請求 座礁事故「わかつき」の…

  • 7

    李登輝前総統の逝去報道──日韓の温度差

  • 8

    バイデン陣営はこれで「ターボ全開」? 副大統領候…

  • 9

    『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

  • 10

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはな…

  • 1

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 2

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 3

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている......当局は「植えないで」と呼びかけ

  • 4

    韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット …

  • 5

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 6

    宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽…

  • 7

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階…

  • 8

    戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路

  • 9

    中国のスーパースプレッダー、エレベーターに一度乗…

  • 10

    【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスク…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月