最新記事

ISIS

失踪中のドイツ人少女 ISISメンバーとしてイラクで発見

2017年7月27日(木)14時30分
モーゲンスタン陽子

16歳のドイツ人少女が、ISIS支配下にあったイラク・モスルで発見、保護された-Twitter

9ヶ月にも及ぶ熾烈な奪回作戦の末、ISIS(自称イスラム国)支配下にあったイラクのモスルが今月上旬イラク政府軍により解放されたが、以降、廃墟の中から複数の外国籍女性が発見・拘束されている。このなかに、昨年から行方不明となっていた16歳のドイツ人少女が含まれていた。

ツイッターで写真が拡散

年齢を考慮してリンダ・Wと報道されているこの少女は、ドイツのザクセン州ドレスデン近郊、人口7千5百人程度の小さな町の出身で、昨年7月から失踪している少女と同一人物であることが家族とドイツ当局により確認された。アメリカ軍の訓練を受けたイラク特殊作戦部隊により、モスル旧市街の民家の地下で発見、保護された。

ドイツ報道機関NDRのレポーターであるイラク人ジャーナリストのアミル・ムサウィがイラクのテレビ局とも契約していることもあり、少女が手当てを受けた病院の正確な位置を明かさないという条件のもと、 NDR、WDR、南ドイツ新聞による合同調査団のインタビューが許可された。インタビューはイラク軍の監視下で行われた。

ムサウィが病室を訪れると、少女はベールを被っており、両脚に怪我をして憔悴しきった様子だが、質問の受け答えができる状態ではあったという。

発見時、戦闘員の性奴隷とされることの多かった、イラクのクルド人少数派ヤジディ教徒の女性がそばにいたことで緊張し、「自分はヤジディではない、ドイツ人だ」と叫んだ。そのためベールを脱ぎ、兵士たちに写真を撮られる結果になった。発見時にうつろな表情で兵士に囲まれた少女の写真はまずツイッターに投稿され、拡散された。それを見た少女の姉は一目で妹だとわかったと語っている。

少女は「とにかくここを離れて家族のもとに帰りたい。戦争から、武器から、騒音から離れたい」と、一刻も早いドイツ帰国を望んでいるという。

偽の保護者承諾書で渡航

WELTの報道によると、少女は15歳だった昨年7月1日、両親に「友人を訪ねる」と嘘をつき、フランクフルト空港から偽の保護者承諾書を用いてひとりトルコに飛んだ。イスタンブールで勧誘員に迎えられたあとシリアに入国し、最終的にイラクに到着した。ISIS加入後は戦闘員の一人と結婚したが、相手はすぐに戦闘で死んでしまったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和

ワールド

米政権、スペースXとの契約見直し トランプ・マスク

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中