最新記事

中東

サウジ、ムハンマド副皇太子が皇太子に昇格 米英が祝意

2017年6月22日(木)10時24分

6月21日、サウジアラビアのサルマン国王は、息子のムハンマド・ビン・サルマン副皇太子兼国防相(31)(写真)を皇太子に昇格させた。これにより同氏は王位継承第1位となり、強大な実権を手中に収めることになる。提供写真。リヤドで4月撮影(2017年 ロイター)

サウジアラビアのサルマン国王は21日、息子のムハンマド・ビン・サルマン副皇太子兼国防相(31)を皇太子に昇格させた。これにより、同氏は王位継承第1位となり、強大な実権を手中に収めることになる。

国王のおいであるムハンマド・ビン・ナエフ皇太子は、全職務を解任される。同氏は長年にわたりサウジのテロ対策を統括してきた。同氏が兼任していた副首相職は、ムハンマド新皇太子に移譲される。

ムハンマド・ビン・サルマン氏の昇格は、王位継承を協議する「忠誠委員会」のメンバー34人のうち31人の賛成で承認された。

同氏は、イエメンでの戦闘、エネルギー政策、サウジ経済の脱石油依存を目指す取り組みなどで指揮をとってきた。今後も国防相を兼任し、同国の石油・経済政策を担う。

アナリストらは、同氏の皇太子昇格によって、中東地域の覇権を巡りサウジが敵対するイランやカタールなどに対してより強硬な政策を取り、中東地域のさらなる不安定化を引き起こす可能性があるとみている。

スイスのコンサルタント会社ペトロマトリックスのオリバー・ジェイコブ氏は、「(ムハンマド・ビン・サルマン氏の)監視の下、サウジはこれまで強硬な外交政策を展開しており、同氏はイランに対して強気な発言をためらうことなく行ってきた」と指摘。「イランと再び緊張が高まるのはほぼ確実で、それがいつになるかが問題」という。

トランプ米大統領はムハンマド新皇太子と電話で会談し、昇格に祝意を伝えた。ホワイトハウスの声明によると、会談ではテロリストや過激派へのあらゆる支援の阻止やサウジなど中東主要国がカタールとの国交を断絶した問題を協議した。

国営カタール通信(QNA)によると、同国のタミム首長はムハンマド新皇太子に祝意のメッセージを送った。英国のメイ首相もまた、皇太子人事を歓迎。

一方、イランは皇太子交代を「穏健なクーデター」と批判した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-プーチン大統領、ウクライナ停戦

ビジネス

米耐久財受注、4月は0.7%増 設備投資の回復示唆

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、5月確報値は5カ月ぶり低

ビジネス

為替変動「いつ何時でも必要な措置」=神田財務官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決するとき

  • 4

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 5

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 6

    テストステロン値が低いと早死にするリスクが高まる─…

  • 7

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 8

    日本を苦しめる「デジタル赤字」...問題解決のために…

  • 9

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 10

    「現代のネロ帝」...モディの圧力でインドのジャーナ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中