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自動運転車がイライラ交通渋滞を緩和する:フィールド実験結果

2017年5月17日(水)11時30分
松岡由希子

esp_imaging-iStock

<米イリノイ大学の研究チームが行ったフィールド実験によって、「自動運転車が交通の流れを大幅に改善した」との実験結果を公表した>

交通渋滞は、私たちの社会や経済に多大な影響をもたらしてきた。国土交通省によると、交通渋滞に起因する日本国内の経済損失は年間12兆円規模と推計され、時間損失は1人あたり年間およそ30時間にのぼる。

一般に、交通渋滞は、交通事故や道路工事といった明確な原因によって生じるものだけでなく、あるドライバーが減速することで、後続車両がさらに減速し、次第に減速が連鎖していく、いわゆる自然渋滞も少なくない。このような自然渋滞への対策が様々に議論されるなか、「自動運転車が交通の流れを大幅に改善した」との実験結果が明らかとなった。

自動運転車を5%加えるだけで自然渋滞を緩和できる

米イリノイ大学アーベナ・シャンペーン校の研究チームは、国立科学財団(NSF)の助成のもと、アリゾナ州ツートンのサーキットで自動運転車を用いたフィールド実験を実施。無人の自動運転車を先頭に、人間のドライバーが運転する自動車20台が続いて走行したところ、1キロメートルあたりのブレーキ回数が、自然渋滞発生時の8.58回から2.5回まで減少した。ドライバーがブレーキを踏む頻度が減ったことで、自然渋滞をもたらす"減速の連鎖"が軽減され、燃料消費量も最大40%削減できたという。


この実験結果によれば、自動運転車をわずか5%程度加えるだけで自然渋滞を緩和できることになる。研究チームでは、ACC(定速走行・車間距離制御装置)など、既存の自動運転関連技術を導入した車両でも、この実験と同様に、交通渋滞の緩和に役立つ可能性を指摘している。


米自動車メーカーのフォード・モーターが、人間の運転を一切必要としない完全自動運転車によるカーシェアリングサービスを2021年に導入する計画を明らかにするなど、近年、自動運転車の実用化に向けた動きが活発になってきたが、技術的課題だけでも数多く残されており、その実現にはまだ相応の時間を要するとみられている。

研究チームでは、このフィールド実験について、人間が運転する自動車と自動運転車との相互作用をより深く理解する上でも有意義なものと評価しており、今後、車線変更など、より複雑な道路状況において、自動運転車が交通の流れにどのような影響を及ぼすのか、さらに詳しく研究していく方針だ。

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