最新記事

科学

性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

2017年5月2日(火)11時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 これほど多様な性嗜好は、いったいどこから生まれているのか? 「ドレスを着たシーメール」とか「スパンキング小説」といったものに興味を持つのは、どういうわけだろう? あなたとあなたのパートナーでは、性欲をかきたてるものが違うのはなぜなのか? こうした疑問が、僕たちの研究の中心的な課題となっている。

 僕たちはこれから、インターネットで集めたデータに、神経科学者や性の研究者たちの最新の研究成果を加味して、さまざまな性的欲望の意味を解明していくつもりだ。あなたにも、あなたのパートナーにも、人には言えない好きなものがあるはずだ。この本では、なぜ人がそういうものを好きになるかも説明するつもりだ。そうした説明のなかで、性的欲望をつかさどる脳についての驚くべき最新情報も紹介したい。まずは、ごく単純な疑問に取り組むことから始めよう。そもそも人は、どうして性嗜好を抱くようになるのだろうか? 「最高のロマンス小説」や「無料のゲイ動画」を好きになるきっかけは何だろう?

 ひとつの可能性として、性的欲望をつかさどる脳が、社会の影響を受けていると考えることもできる。もしかすると、人間の脳は、親や友人、メディアといった社会環境からさまざまな情報を取り込んで、その情報を見本にして、性的欲望を生み出すようにできているのかもしれない。この「社会による刷り込み」説を確かめる方法はあるだろうか? 方法がないこともない。特定の情報だけを人に刷り込んで、その人の性的欲望も特定のものになったら、この説は正しいことになる。

 もし僕たちが、生まれたばかりの赤ちゃんを取り上げて、完全にコントロールされた環境のなかで育てることができたとしたら、その赤ちゃんは、僕たちの思い通りの性嗜好を持つ大人になるだろうか?

※続き(第3回):「男と女のどちらを好きになるか」は育つ環境で決まる?


『性欲の科学――
 なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか』
 オギ・オーガス、サイ・ガダム 著
 坂東智子 訳
 CCCメディアハウス


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!

毎日配信のHTMLメールとしてリニューアルしました。

リニューアル記念として、メルマガ限定のオリジナル記事を毎日平日アップ(~5/19)

ご登録(無料)はこちらから=>>


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円が対ユーロで16年ぶり安値、対ドルでも介入ライン

ビジネス

米3月新築住宅販売、8.8%増の69万3000戸 

ワールド

米国は強力な加盟国、大統領選の結果問わず=NATO

ビジネス

米総合PMI、4月は50.9に低下=S&Pグローバ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中