最新記事

テクノロジー

折り紙研究から生まれた折り畳み式防弾シールド

2017年4月11日(火)14時20分
スタブ・ジブ

折り畳み式防弾盾の実験 Jaren Wilkey/Brigham Young University

<繊維製なのに銃弾もはじく。その秘密は折り紙の原理だ>

米ユタ州のブリガム・ヤング大学にある柔軟機構研究所には、いたるところに精巧な折り紙作品が散らばっている。子供の遊びではない。研究者たちの機械工学プロジェクトに必要なインスピレーションを得るための試作品だ。

「折り紙の芸術家たちは、普通の工学的アプローチでは見つけられなかった構造や動作を何世紀もかけて発見してきた」と、研究所を統括する機械工学専門のラリー・ハウエル教授は言う。ハウエルの研究チームは2012年、折り紙の原理を利用した工学の研究を進めるべくNSF(国立科学財団)からの資金調達に成功。これまでに、NASA(米航空宇宙局)向けの巨大な折り畳み式太陽電池パネルや、畳んで体内に入り幹部で広げることで侵襲性を最小限にする医療用マイクロロボットなどをデザインしてきた。

銃乱射事件への備えにも

最新の作品は、警官などが撃ち合いに遭遇したときに使う折り紙構造の防弾シールドだ。円筒を潰したたときにできるダイヤモンド・パターンのケブラー繊維を12層に重ねて強度を出した。日本の東京大学理学部教授だった故・吉村慶丸の研究にちなんで「ヨシムラパターン」と呼ばれる折り方だ。

「折り目のパターンはオリジナルそのままだ。ただし折り目の角度は銃弾を止められるよう独自に開発されている」と、著名な折り紙アーティストで物理学者のロバート・ラングは言う。

重量は25キロ弱とでこれまでの盾と比べると約半分。広げれば3人分の盾となり、折り畳めば小さくなるので持ち運びも楽だ。本物の警察官に使ってもらったところ、大好評だったという。

【参考記事】究極のブラックホールをつくりだす、地上で最も黒い素材とは?
【参考記事】地球を人工的に冷やすことは可能か!?世界初の屋外実験がスタート

まずは警察など法執行機関への導入を目指すが、将来的には軍や銃絡みの事件に備える学校や公共施設での活用も視野に入れている。目標原価は一つ1,000ドルだ。


MAGAZINE

特集:日本と韓国 悪いのはどちらか

2019-9・24号(9/18発売)

終わりなき争いを続ける日本と韓国── 泥沼の関係に陥った本当の原因と「出口」を考える

人気ランキング

  • 1

    コモドドラゴンの体内に「鎧(よろい)」があることが発見される

  • 2

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 3

    韓国航空会社の受難......ウォン安、原油高騰に「ボイコットジャパン」が追い打ち

  • 4

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいつ…

  • 5

    水深450メートル、メカジキに群がるサメ、そのサメを…

  • 6

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 7

    北朝鮮船がロシアの国境警備艇を攻撃、日本海で多発…

  • 8

    若年層の頭蓋骨にツノ状の隆起ができていた......そ…

  • 9

    【韓国経済データ】対日輸出動向(2019年1~8月)

  • 10

    【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(201…

  • 1

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 2

    コモドドラゴンの体内に「鎧(よろい)」があることが発見される

  • 3

    韓国航空会社の受難......ウォン安、原油高騰に「ボイコットジャパン」が追い打ち

  • 4

    【韓国政治データ】文在寅大統領の職業別支持率(201…

  • 5

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 6

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいつ…

  • 7

    韓国のインスタントラーメン消費は世界一、その日本…

  • 8

    消費税ポイント還元の追い風の中、沈没へ向かうキャ…

  • 9

    水深450メートル、メカジキに群がるサメ、そのサメを…

  • 10

    思い出として死者のタトゥーを残しませんか

  • 1

    嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

  • 2

    ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいついで感染

  • 3

    日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう

  • 4

    ヒマラヤ山脈の湖で見つかった何百体もの人骨、謎さ…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 6

    「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる…

  • 7

    サウジ原油施設攻撃で世界は変わる

  • 8

    「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

  • 9

    コモドドラゴンの体内に「鎧(よろい)」があること…

  • 10

    韓国で脱北者母子が餓死、文在寅政権に厳しい批判が

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月