最新記事

アメリカ政治

トランプ初の単独会見は大荒れ けんか腰の大統領に記者から反撃も

2017年2月18日(土)09時24分

2月16日、トランプ米大統領(写真)は、初めて単独会見を開いたが、開始3分で不満を爆発させた。ワシントンのホワイトハウスで撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領は16日、初めて単独会見を開いたが、開始3分で不満を爆発させた。自身の支持率が55%とする調査を無視したとして記者団を非難した。

ただ、この数字は他の大半の調査と一致するものではない。

就任から数週間に発生した一連の出来事に関する報道は不公平だと主張するトランプ大統領のメディア批判は、辛らつに、時に個人的に繰り広げられた。

トランプ大統領はこの日、主要政策の1つである入国制限令をめぐり、米連邦控訴裁が効力停止を支持する判断を出したことの敗北に甘んじた。また、労働長官を指名し直さねばならなくなったほか、国家安全保障担当の大統領補佐官の辞任に関する質問にも直面した。異例なほど長く、好戦的な会見の主たる標的は、メディアに向けられた。

大統領選における自身の選挙陣営がロシアと接触していたとの報道について記者から聞かれると、大統領は質問をそらし、代わりに「違法な」情報流出であり、「不誠実な」報道だとして矛先を変えた。

発足当初からトランプ政権の混乱が連日のように報道され、大統領は要領を得ない質問をしたある記者に「座れ」と言い、次のように述べた。

「彼らは明日、『ドナルド・トランプは記者会見でわめき散らした』と報じるだろう。だが私はわめき散らしてなどいない。ただ伝えているだけだ。君たちが不誠実な人間だと」

トランプ大統領は77分に及んだ記者会見で、昨年の大統領選で自分に一票を投じた有権者にメッセージを送っているかのようだった。彼らの多くは、政府に置き去りにされていると感じ、支配層に活を入れようとするアウトサイダーとしてのトランプ氏のイメージを好んでいる。

会見が終わりに近づいたとき、珍しいやり取りがあった。トランプ大統領がある記者を指名して、「味方」かどうかを尋ねたのだ。

この記者から全米各地のユダヤ系施設48カ所が最近脅迫されたことについて聞かれると、トランプ大統領は「君たちがこれまで見てきた中でも、私は反ユダヤ主義から最もかけ離れた人物だ」と答え、この質問を個人的に捉えているようだった。

トランプ大統領は「人種差別からも一番遠い人物だ」とも付け加え、同記者に「黙る」よう言い、さらにうそをついていると非難して、質問は「侮辱的」だと一蹴した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中