最新記事

ミャンマー

12歳で売られた花嫁 ロヒンギャの少女を取り巻く現実

2017年2月21日(火)16時05分

前述の結婚した少女は、マレーシアの東海岸にあるクアンタンに連れて行かれた。夫になった男性は、支配的で虐待することがすぐに分かったという。彼女の携帯電話を取り上げ、自分の家族にも彼女を会わせなかった。家のなかで何日も独りで放置されたこともあった。

結婚してから8カ月目に入ったころ、少女は両親と下の4人のきょうだいと連絡が取れ、父親によって救出された。父親は彼女を捜すため、クアンタンまでやって来ていた。

ロイターは少女の夫に電話でコメントを求めたが、応答はなかった。

少女は現在、クアラルンプール郊外の小さな村で、家族と1部屋だけの小屋に暮らしている。

以前より安心しているというが、離婚に応じなかった夫の元に戻らなければいけなくなるかもしれないことを恐れていると少女は語る。

自身も難民でロヒンギャ女性の支援ネットワークを立ち上げたシャリファ・シャキラ氏は、「(ロヒンギャは)法的地位がないため、弁護士や警察に助けを求めることは簡単ではない。子どもの花嫁がいると通報を受けても、警察は動かない」と語った。

尊厳ある生活

国連統計によると、約5万6000人のロヒンギャがマレーシアで生活している。ただしロヒンギャの多くが不法滞在のため、その数はそれよりはるかに多いと、移民支援団体は指摘する。彼らは主に首都クアラルンプール周辺の貧困地区にコミュニティーを築いている。

ロイターが取材したロヒンギャ男性たちによると、このように社会から取り残された小さなコミュニティーに暮らす若い男性にとって、結婚相手を見つけて家族を築くことは、社会的地位を上げて普通の生活をする1つの方法だという。

マレーシアのロヒンギャ社会に結婚相手としてふさわしい女性が不足していることが花嫁の需要を生む一方、一部の家族は結婚を口減らしの手段として考えていると、クアラルンプールに暮らす3人の子の父親であるロヒンギャ男性(32)は話す。この男性の姉妹も幼くして嫁いだという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インタビュー:高市新政権、「なんちゃって連立」で変

ワールド

サルコジ元仏大統領を収監、選挙資金不正で禁固5年

ビジネス

米GM、通年利益予想引き上げ 関税の影響見通し額下

ワールド

ウクライナ北部で停電、ロシア軍が無人機攻撃 数十万
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 6
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中