最新記事

ミャンマー

12歳で売られた花嫁 ロヒンギャの少女を取り巻く現実

2017年2月21日(火)16時05分


批判を受けるマレーシア

人権団体によると、ロヒンギャ女性がミャンマーを逃れて、たいてい家族同士が決めた避難先のロヒンギャ男性と結婚することはよくあるという。こうしたお見合い結婚のなかには、未成年の少女もいる。

しかし、花嫁をロヒンギャ男性に売る人身売買業者の犠牲になる女性や少女が増加している。

東南アジアで活動する移民・難民の保護団体「フォーティファイ・ライツ」のマシュー・スミス代表は、ラカイン州での暴力悪化を受け、子どもの花嫁が「かなり」増加したのを同団体は目の当たりにしたと語った。

結婚のために売られた少女に関する公式統計はない。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2015年、報告書のなかで、マレーシアに子どもの花嫁が120人いることを確認したが、そのうち何人が人身売買の犠牲者なのかは不明だとしている。

マレーシアは国連の難民条約に加盟しておらず、亡命を求めるロヒンギャの搾取に加担していると、人権団体は主張する。ロヒンギャを不法移民として扱い、彼らが雇用や医療や教育に正規にアクセスする道を断っているからだ。彼らは不法にレストランや建設現場で働き、貧しい生活を強いられている。

マレーシアは今月、ロヒンギャ300人を雇用する対策を打ち出した。人権団体はこうした動きを歓迎している。

ロイターは本記事についてマレーシア政府にコメントを求めたが、返事はなかった。

許される子どもの結婚

イスラム教徒が多数を占めるマレーシアは子どもの結婚に寛大である。

イスラム法(シャリア)の下では、16歳未満のイスラム教徒の少女でも、シャリア裁判所の許可があれば結婚できる。ただし、マレーシアにおけるロヒンギャの結婚において、裁判所は関与していない。ロヒンギャの指導者が取り仕切り、結婚証明書は発行されるものの、それがマレーシアの法律の下で合法な文書であるかは示されていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米の宇宙非核決議案にロシアが拒否権、国連安保理

ビジネス

ホンダ、旭化成と電池部材の生産で協業 カナダの新工

ビジネス

米AT&T、携帯電話契約者とフリーキャッシュフロー

ワールド

韓国GDP、第1四半期は前期比+1.3%で予想上回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中