最新記事

テクノロジー

中国が史上最速「エクサスケール・スパコン」に一番乗り

2017年1月20日(金)16時57分
アンソニー・カスバートソン

現在、世界最速の中国製スパコン「神威太湖之光」 SC16"TPO500"

<日米中が開発に鎬を削る、これまでとは次元が異なる演算能力を誇るスーパー・スパコンが年内にも登場すると、新華社が報道>

 中国の科学者が、世界初となる「エクサスケール」(1秒間に100京回の演算能力)」の国産スーパーコンピューターを開発中だと、国営新華社通信が報じた。

「スーパー・スパコン」とも呼ばれる次世代パソコンの開発で、中国が年内にも一番乗りする予定だ。すでに最速のスパコンをもつ中国が、さらに日本、アメリカを突き放すことになる。

「スーパーコンピューター本体とアプリケーションによる演算処理システムの完成は、2020年になる見込みだ。2010年に世界最速に認定された中国初の1ペタスケール(1秒間に1000兆回の演算能力)の「天河1号」(演算性能は約2566兆回)と比べて、200倍もの処理能力を持つことになる」と、国家スーパーコンピューター天津センターの技術者チャン・ティンは新華社通信に語った。

【参考記事】航空機も「育てる」化学のコンピューター

最速スパコン数でも初めて米中逆転

 昨年6月にコンピューターの国際会議SC16が発表した世界のスーパーコンピューターの計算速度ランキング「TOP500」では、国別の機数で中国が初めてアメリカを抜いて首位に立った。

 アメリカの165機に対し、中国勢は167機が上位500位入りを果たした。1993年のランキング開始以来、アメリカが数でスーパーコンピューター世界一の座を奪われたのは初めて。

「10年前、TOP500入りした中国勢はわずか28機で、そのうち上位30位に入ったのは1機もなかったことを考えると、スーパーコンピューターの歴史上、中国は他のどの国よりも速く、目覚ましい技術の進歩を遂げつつある」と当時TOP500は評価した。

【参考記事】人工知能、「予測」を制する者が世界を制す

 開発者によると、中国の新型機はデータ処理能力で世界をリードし、ビッグデータの解析やクラウドと連携させるうえで重要なアプリケーションを取り入れるという。

 世界最速のスパコン開発でアメリカが中国に遅れを取っている傾向を、バラク・オバマ米大統領は2010年の一般教書演説で「我らの世代のスプートニク事件」と呼び、最強のスーパーコンピューター開発の重要性を強調した。1957年に人類初の人工衛星の打ち上げでソ連(当時)に先を越されたスプートニク・ショックを持ち出すほどの危機感だったということだ。その後アメリカの「タイタン」が中国の「天河2」に再び世界一の座を奪われた2013年以降は、何としても首位の座を奪還する意向を示していた。

【参考記事】米中スパコン対決という軍拡競争

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

自民単独300議席超、「絶対安定多数」上回る 維新

ワールド

高市首相、消費減税「新規国債発行せず、国民会議で検

ビジネス

自民大勝でも「放漫財政にならない」=片山財務相

ワールド

強力なリーダーシップに期待と経団連会長、自民単独過
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 3
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 6
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 7
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 8
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    背中を制する者が身体を制する...関節と腱を壊さない…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中