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トランプ政権の国防を担うクールな荒くれ者

2016年12月9日(金)10時45分
トーマス・リックス(軍事ジャーナリスト)

キャリア組に慰留効果も

 文民統制の原則からすれば、退役将校の国防長官就任には制約がある。ジョージ・C・マーシャルの前例はあるが、マーシャルの場合は実戦で目立った軍功はなく、第二次大戦での参謀総長としての手腕が買われた。

 それでもあえて元将校から選ぶとしたら、マティスの起用はいい選択だ。彼ほど純粋に戦略的に考え、自分にも他人にも知的成長を求める人物はめったにいない。もっとも、それが常に歓迎されるとは限らないが。

 現在、統合参謀本部議長は海兵隊大将だ。その上マティスが国防長官に就任すれば、統合参謀本部内での海兵隊の立場はかつてなく強固になるだろう。陸軍関係者は、今後数年は逆風を覚悟したほうが良さそうだ。

【参考記事】ロシア「アメリカは事実上のテロ支援国家」

 マティスは兵士に非常に人気がある。彼の起用は、トランプ政権下では働きたくないという国防総省のキャリア組を慰留する効果も期待できる。

 オバマ政権の国防総省に対する仕打ちはひどかった。特にマティスの解任劇はあまりに屈辱的だった。こんな大逆転が待っていようとは、クビにされた当人も思っていなかったはずだ。

 同じ憂き目を見たデービッド・ペトレアス元陸軍大将も次期国務長官候補に浮上している。将軍たちの返り咲きが、トランプ劇場第2幕の幕開けを飾ることになりそうだ。

From Foreign Policy Magazine

[2016年12月13日号掲載]

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