最新記事

米外交

トランプが駐米大使に勝手指名した「英国版トランプ」ファラージ

2016年11月24日(木)17時00分
ロビー・グレイマー

トランプと同じく演説がうまいファラージ Toby Melville-REUTERS

<外交のプロトコルを知らないことも問題だが、声をかける相手がやっぱりポピュリスト、というのは不安だ>

 アメリカの次期大統領ドナルド・トランプがふりまく話題は、たいていツイートで始まる。今回の「事件」もツイートがきっかけだ。トランプは11月21日、イギリスの右翼政党・イギリス独立党(UKIP)の暫定党首でイギリスのEU(欧州連合)離脱派の広告塔、ナイジェル・ファラージを次の駐米大使に推したいとツイートした。

 トランプが他国の外交に口をはさんだかたちだ。トランプはこれまでも、イギリス政府との正式な外交ルートを通さずにファラージとかかわりを持っており、トランプ新政権の米英関係は前途多難となりそうだ。

 トランプは11月21日夜付けのツイートで、「英国を代表する駐米大使に多くの人がナイジェル・ファラージを望んでいる。彼なら素晴らしい仕事をするだろう!」と述べた。ファラージを支持するトランプのこうしたやり方は外交儀礼を大きく踏み外すもの。11カ月前に着任したばかりのれっきとした駐米大使サー・キム・ダロックとイギリス政府を困惑させている。

白人至上主義者も

 ファラージは、2016年6月に行われたイギリスの国民投票では、EU離脱(ブレグジット)派を勝利に駆り立てた。

 トランプと親交がないイギリスのメイ首相とは異なり、ファラージはトランプと親交のある数少ない外国人の1人だ。トランプは外交政策をめぐる意見を目まぐるしく変え、多数のアメリカ同盟国を不安に陥れている。トランプが先ごろホワイトハウス首席戦略官として指名した白人至上主義者のスティーブ・バノンは、米英二国間の課題についてメイより先にファラージに相談すると明言しており、メイの面目は丸つぶれだ。

 トランプは堂々とファラージの肩を持っており、メイの訪米日程が決まるのを待たずに11月12日にファラージをトランプタワーに招待した(とはいえトランプはメイに対し、大西洋を越えてアメリカに来るようなことがあればぜひ知らせてほしいとも述べている)。トランプはさらに、ファラージの同志であるかのように振る舞い、自身の大統領選挙における勝利は「ブレグジット・プラス・プラス・プラス」と呼ばれることになるだろうとキャンペーン中から公言していた。

【参考記事】極右の初議席獲得を支えた地方住民の怒り

 駐米英国大使の人選に関するトランプのツイートを受けて、イギリス首相官邸はいち早く否定的な見解を示し、ダロック現大使を擁護した。「(駐米英国大使の)ポストに空きはない。すでに優秀な大使が着任している」と、メイ首相の報道官は述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランが国外と遮断状態に、最高指導者「トランプ代理

ビジネス

中国自動車販売、25年3.9%増 今年は横ばいと乗

ビジネス

今年もM&Aは好調見通し、リスクに備え規模追求=J

ワールド

トランプ氏のベネズエラ重視に側近が懸念、中間選挙へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中