最新記事

2016米大統領選

米大統領選、クリントンはまだ勝つ可能性がある──専門家

2016年11月11日(金)15時40分
マックス・カトナー

敗北宣言を行うクリントン Brian Snyder-REUTERS

<一部の激戦州の票は今カウント中、既に勝敗が決したとされる州や僅差の州では再集計が必要な場合もあり、12月の選挙人投票ではクリントンがトランプと引き分ける可能性もある。その場合は議会がどちらかを大統領に選ぶ。先例もある>

 AP通信によると、木曜日の時点で、ニューハンプシャー、ミシガン、アリゾナの3つの州では選挙人の獲得数が拮抗している。もし民主党候補のヒラリー・クリントンがそれらの州を制して合計31人の選挙人を新たに獲得したとしても、大統領の当選に必要な過半数の270人には届かず、279人を獲得したドナルド・トランプを上回ることはない。

 だがAP通信のアナリスト・マイケル・マクドナルドは、ウィスコンシン州でトランプが勝利したとする同社の集計結果を疑っている。彼はフロリダ大学の教授も兼務し、USエレクションズ・プロジェクトを率いて日々選挙データを集計してきた。仮にクリントン側にウィスコンシンでの勝利が舞い込み、接戦の3つの州も制することができれば、選挙人の獲得総数は両候補とも269票の同点となり、トランプとの引き分けに持ち込める。

【参考記事】クリントン当選を予想していた世論調査は何を間違えたのか

「クリントンはウィスコンシン州で勝っているかもしれない」とマクドナルドは言った。「メディアが当確を出したからといって、それが本当の選挙結果だとは限らない」

 彼は、不確定要因として不誠実な選挙人の存在を指摘する。11月8日に選ばれた選挙人団は、形式的とはいえ12月の選挙人投票を経て最終的に大統領を選ぶ。問題は、稀に、どの候補に投票するかの誓約を破る選挙人が出てくることだ。非営利組織フェア・ボートによると、1787年の選挙人団設立以来、不誠実な選挙人は157人いたことがわかっている。

選挙人投票でタイも

 もし12月の選挙人投票でトランプとクリントンの獲得票数が引き分けになれば、大統領を決めるのは議会。クリントンの勝機もある。ペンシルベニア州フィラデルフィアにある国立憲法センターによると、過去に2度、1800年と1824年にそうしたケースがあった。

【参考記事】【敗戦の辞】トランプに完敗したメディアの「驕り」

 アリゾナ州務長官は木曜日、開票率99.9%の時点で、クリントンの45.3%に対してトランプは49.64%の票を獲得し、得票数の差は8万5257票だと発表。一方、州当局は本誌の取材に対して、水曜日の時点で期日前投票や暫定投票などによる62万7000票が未集計だと語った。マクドナルドは「(アリゾナの結果は)不確実な要素が十分にあり、クリントンがトランプを逆転する可能性が残っている」と言う。(米ケーブルテレビCNNの集計結果によると、アリゾナ州はトランプが制した)(追記:その後、AP通信もトランプがアリゾナ州を制したと発表した)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ

ワールド

野村、今週の米利下げ予想 依然微妙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中