最新記事

EU

イギリス、ドイツ・フランスの防衛協力強化案「EU軍」に反対

2016年9月28日(水)19時28分

9月27日、ドイツとフランスがEUの防衛協力強化を共同提案したことについて、英国は27日、EUの加盟国である間は各国の軍を一つにまとめるようないかなる提案にも反対する意向を表明した。写真は3月3日、北フランスのアミアンで(2016年 ロイター/Philippe Wojazer)

 ドイツとフランスが欧州連合(EU)の防衛協力強化を共同提案したことについて、英国は27日、EUの加盟国である間は各国の軍を一つにまとめるようないかなる提案にも反対する意向を表明した。ドイツとフランスは単一の軍を創設する計画は存在しないと主張。防衛協力強化の動きは北大西洋条約機構(NATO)も支持しているとしている。

 ブラチスラバで開かれているEUの国防相会合でファロン英国防相は、非友好的な関係にあるロシアから欧州を防衛する役割はEUではなくNATOにあると述べた。スウェーデンやオランダ、ポーランド、ラトビア、リトアニアも、フランスとドイツによる提案に懸念を示していると付け加えた。これらの国々が提案に懸念を示したことは、EUの外交筋も認めている。

 ファロン氏は記者団に対して「単一の部隊を望んでいる加盟国がいるようだ。私にはそれが欧州軍として映り、われわれは、そうしたものに反対する」と述べた。

 英国はEUの軍を指揮する総司令部を設ける提案にも反対している。総司令部の場所はブリュッセルとなる可能性がある。金融危機以降、NATO加盟国は予算削減を続けており、英国は総司令部創設の動きによってNATOの財源が枯渇するのではないかと危惧している。

 ファロン氏は「欧州は既に司令部であふれている。さらにつくる必要はない」と述べた。

 英国はEUを離脱するまでは完全な議決権を有している。防衛関連の決定は多数決の投票に掛けられる。

[ブラチスラバ 27日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

2月スーパー販売額は前年比0.3%減=日本チェーン

ワールド

韓国の山火事死者18人に、強風で拡大 消火中ヘリが

ビジネス

1月改定景気動向指数、一致指数は前月比+0.1ポイ

ビジネス

ECB、金利設定は「現実的かつデータ主導で」=伊中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 5
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中