最新記事

交通

アウトバーンが修繕時期を自己診断 事故も未然に防ぐスマートブリッジ10月導入

2016年9月21日(水)06時15分
ケイト・ローレンス ReadWrite[日本版]編集部

アウトバーンは再び未来の道の座を取り戻す? (c)ReadWrite[日本版]編集部

 <今年10月に、1230万ドルもの費用を投じられた「スマートブリッジ」がドイツに登場する。バイエルン北部で建設中のその橋には、これまでのアウトバーンにはなかったような新たな技術が使用されている。>

 なにがスマートになったかというと、橋の定期点検をおこなう前にどこを修繕すべきかがわかる点である。アウトバーン9という橋に組み込まれたセンサーが、随時、橋にかかる負荷や動き、傾きのほか温度や湿度、車重を検知し、専門家はセンサーから得たそれらのデータから橋の状態を知ることができる。あらかじめ重点的に点検すべきところがわかることで、作業効率は想像するよりずっと向上するだろう。

 また、この方法がほかのドイツ国内の道路でも有効か判断するため、ニュルンベルクにある橋を対象に5年間にわたるテストプロジェクトが行なわれている。

スマートブリッジは都市のデジタル化の第一歩

 スマートブリッジは、ドイツ政府が2015年に開始したプロジェクト「デジタルアウトバーン・テストフィールド」の一部である。ミュンヘンからニュルンベルクを結ぶ「A9ルート」は、ヨーロッパでもっとも重要な道路の1つだが、これが徐々にイノベーションのテスト環境になりつつある。Mobility 4.0のスローガンのもと、ドイツ連邦政府、バイエルン州、そしてSiemens社やInfineon社などの企業によって、A9ルートは未来技術を検証する土台になろうとしているのだ。

【参考記事】夏休みの帰省渋滞も解消? 20年後の高速道路をつくる3つの技術とは

 その狙いは、交通をより高速かつ安全におこない、渋滞を緩和することだ。プロジェクトの他の利点として、アウトバーンで大きな問題になっているドイツ語で「ガイスターファーラー」(Geisterfahrer)と呼ばれる高速を逆走する「幽霊ドライバー」を減少できる、という点も挙げられる。運転者が引き起こしそうなミスを察知し警告を発することで、ドイツの路上で根強く起こり続ける問題の軽減も図る。

 このプロジェクトでは、バイエルン北部エリアの駐車場6か所にフリーWiFiも導入される。このWifiは、11月半ばに稼働予定だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中