最新記事

エンターテインメント

マンガの次はポケモンGO、それでも遠いコンテンツ大国の道

2016年8月5日(金)19時18分

 そこで政府は財政投融資を活用し、ファンドを設立。今年4月時点で同ファンドの出資金は523億円にのぼり、コンテンツの現地語訳やプロモーション活動の支援などを行っている。

 これまでに世界22カ国に日本コンテンツの有料放送チャンネルを展開し、地域物販やインバウンド促進を狙って15年3月にスカパーJSATに約44億円を出資、14年10月にバンダイナムコHD<7832.T>等に約10億円を上限に出資するなど、合計17件の投資を決めてきた。

知財王国の虚像

 国連貿易開発機構(UNCTAD)によれば、日本の知的財産権使用収入は14年時点で368億ドルと、米国の1316億ドルに次いで世界第2位となっている。

 収益を生み出す知的財産権の範囲は広く、映画や音楽、コンテンツにとどまらず、産業技術やコンピュータソフトなども含まれる。産業関連の知財も対象のため、全体でみると日本の存在感は大きく見える。

 しかし、産業関連では、企業内取引が多くを占めている。海外からのラインセンス収入が大きい自動車などの輸送機械では、88%程度が親会社・子会社間の取引による収入となっている(特許技術年次報告書2016年版)。海外企業からラインセンス収入を稼いでいるとのイメージは、実態から大きくかい離することになりそうだ。

 文化コンテンツについても支払いが大きく、著作権収支も赤字だ。日本貿易振興機構(JETRO)知的財産課の高村大輔氏は「日本はなかなか知的財産で稼ぐところまで行っていない」と指摘する。

 トップを走る米国では、産業技術が37%、コンピュータソフトが30%、映画や音楽、コンテンツなどが15%など、多岐にわたる分野で収入を得ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中