最新記事

香港

「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記

2016年7月8日(金)06時12分
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)

 次に話を聞いたのは私立大学・珠海学院の学生会だ。日本アニメ、とりわけ『ハイキュー!!』(高校バレーボールが題材)が大好きで日本語が話せるようになってしまったという女子学生に話を聞いた。学生会の要求は、大学管理条例を改定し学校理事会に教員または学生の代表を入れろ、というもの。現在の理事会には中国本土関係者が多く、教育の「赤化」を恐れたために運動を始めたという。中国への警戒感を持っていることは確かだが、要求はあくまで条例改定。「決戦689」などの大きな政治問題にはノータッチだ。

 こうした団体は無数にある。気になった団体をさらにいくつか紹介しよう。

takaguchi160708-4.jpg

 ランタウ島水牛愛護協会。空港やディズニーランドがあるランタウ島では開発が進み、生息地域である湿地帯が減少している。「湿地の天使」と呼ばれる水牛を守れという主張だ。

takaguchi160708-5.jpg

 馬宝宝コミュニティ農場。農地を住宅用地に転換しようとする政府に反対している。メンバーは現地農民ではなく、都市住民が多いという。日帰りで遊びに行けるオープンな農場なのだとか。スローガンは「農地は農業に使おう」。ブースではキュウリなど農作物を配っていた。

takaguchi160708-6.jpg

 同性愛者の権利擁護を訴える大愛同盟。人気歌手のデニス・ホーさん(写真中央)が登壇し注目を集めていた。デニス・ホーさんは2014年の民主化運動「雨傘運動」を支持したため、中国政府に圧力をかけられ、大手化粧品ブランド「ランコム」がスポンサードしたコンサートが中止に追い込まれる事件があったばかりだが、現場では言論問題よりも同性愛者の権利問題に中心をおいて発言していた。

takaguchi160708-7.jpg

 香港中心部の公共住宅が、立て替えによって一般市民が住めない高級住宅に変わっている。一般住民が住めるお値段の公共住宅を作れ、という運動。不動産価格高騰は香港市民にとって最大の関心事だ。

takaguchi160708-8.jpg

 香港婦女労働者協会。女性パートタイム労働者の権利擁護や主婦による家事労働の評価などを主張していた。

takaguchi160708-9.jpg

 日本でもおなじみ、尖閣諸島奪還を目指す保釣行動委員会のブース。活動費のカンパを募っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米関税の影響経路を整理、アジアの高関税に警戒=日銀

ビジネス

午後3時のドルは145円前半に小幅安、一時3週間ぶ

ワールド

トランプ氏、公共放送・ラジオ資金削減へ大統領令 偏

ビジネス

英スタンチャート、第1四半期は10%増益 予想上回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中