最新記事

国債

ECB量的緩和、5月は仏独など主要国国債を規定以上に購入 

2016年6月7日(火)10時59分

6月6日、ECBが5月に仏独伊などの国債を規定以上買い入れる一方、規模の小さい国の国債買い入れ額は規定を下回っていることが分かった。写真はECB本部、昨年9月撮影。(2016年 ロイター/Ralph Orlowski)

 6日公表のデータから、欧州中央銀行(ECB)が5月に仏独伊などユーロ圏主要国の国債を規定以上買い入れる一方、ポルトガルやスロバキアなどより規模の小さい国の国債買い入れ額は規定を下回っていることが分かった。

 ECBは3月の理事会で、月間の買い入れ額を800億ユーロ(908億6000万ドル)に引き上げることを決定しており、ECB自らが定めた規定に抵触せずに買い入れ規模を拡大することの困難さを浮き彫りにした。規模の小さい国が主要国と同様の恩恵を受けられないリスクが高まっている。

 ECBはユーロ圏加盟国の出資比率に応じて資産買い入れを行うが、5月に買い入れたドイツ、イタリア、フランス、スペイン国債の規模はいずれも各国の出資比率を上回った。

 一方、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、アイルランド国債の買い入れ規模は出資比率を大きく下回った。キプロスは国際支援の脱却に伴い、資産買い入れプログラムの対象から最近除外された。

 ただ、アイルランドとポルトガルについては、国別の買い入れ額を発行残高の3分の1までとする上限に近づきつつあるため、ペースを減速させた。過去の危機対策で国債を大量に買い入れていることが背景にあるという。

 関係筋が前月明らかにしたところによると、ECBと買い入れを担当しているユーロ圏各国の中銀は、アイルランドとポルトガル国債の代わりに、欧州投資銀行(EIB)など、超国家的な機関の債券を買い入れているもようだ。

 こうした超国家的な債券の買い入れ額は3月の64億ユーロから4月には87億ユーロに増加、5月は77億ユーロとなっている。

[フランクフルト 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

維新、連立視野に自民と政策協議へ まとまれば高市氏

ワールド

ゼレンスキー氏、オデーサの新市長任命 前市長は国籍

ワールド

ミャンマー総選挙、全国一律実施は困難=軍政トップ

ビジネス

ispace、公募新株式の発行価格468円
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中