最新記事

日本経済

安倍首相「消費増税は適時適切に判断、消費は予想より弱い」

1−3月GDPの好結果にもかかわらず消費について弱気発言する理由は──

2016年5月18日(水)18時49分

5月18日、安倍晋三首相は午後の党首討論で、来年4月の消費増税について、リーマンショックなどの出来事がない限り予定通り引き上げるとしたうえで、「そういう状況であるかないかは、専門家に議論いただき、適時適切に判断していきたい」との考えを示した。写真は都内で3月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

 安倍晋三首相は18日午後の党首討論で、来年4月の消費増税について、リーマンショックなどの出来事がない限り予定通り引き上げるとしたうえで、「そういう状況であるかないかは、専門家に議論いただき、適時適切に判断していきたい」との考えを示した。

 安倍首相はこの日発表された1─3月のGDP速報に関連して、名目成長率が着実に上がっており、「経済政策は功を奏している」と強調。「名実逆転(名目成長率が実質成長率を下回る)現象を正常化できた。デフレ脱却へ大きな一歩だった」と語った。

 一方で、個人消費に関連しては「消費税上げ以来、消費が弱いのは事実だ。予想より弱い。そこに注目している」と述べた。

 来週の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での議論を踏まえ、消費増税延期を近く発表するのではないかとの指摘には「需要を創出していくべきで、供給制約要因は取り除かないといけないということは(G7間でも)一致している。議長国としてどのような責任を果たすかしっかり考えないといけない」と述べるにとどめた。世界経済の現状については「下方リスクがあるという認識は(各国の首脳とも)一致している。景気循環を超えるリスクとなるか注目しなければならない」と語った。

 これに対し、岡田克也民進党代表は「サミットの前後に消費増税を再延期するかと聞いても答がないので、(再延期は)ないと理解する。もし再延期したら国民への説明責任が生じる」と指摘。さらに、「私は消費税上げは先送りせざるを得ない状況だと思う」としたうえで、1)2020年度の基礎的財政収支黒字化目標は堅持し、2019年4月には消費税を引き上げる、2)行財政改革を具体的に進める、3)来年4月からの社会保障充実策は赤字国債を2年間発行して予定通り行う、4)軽減税率の導入は白紙に戻し、給付付き税額控除なども含め、望ましい軽減策を議論する、の4項目を提案した。

 安倍首相は「ご提案としてうかがっておきたい」と答えた。

 (石田仁志)

[東京 18日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米経済、「信じられないほど」力強い=JPモルガンC

ワールド

北朝鮮、圧倒的な軍事力構築を継続へ─金与正氏=KC

ビジネス

米ビザ、四半期利益が予想上回る 堅調な消費動向で 

ビジネス

米国株式市場=続伸、マグニフィセント7などの決算に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中