最新記事

ピープル

ウディ・アレン「小児性愛」疑惑を実の息子が告発

巨匠の才能にひれ伏し、疑惑をなかったことにするメディアとハリウッドを批判

2016年5月12日(木)19時17分
ザック・ションフェルド

父の罪を問う 父親はフランク・シナトラだという説もあるローナン・ファロー  Lucas Jackson-REUTERS

 長年、ハリウッドにくすぶり続けてきたスキャンダル、ウディ・アレン監督(80)の小児性愛疑惑がまたまた波紋を広げている。アレンと言えば、昨日開幕したカンヌ国際映画祭でオープニング上映された『カフェ・ソサエティ』も手掛けた世界的な映画監督。

 その華やかなプレミアと同日、アレンの息子ローナン・ファローは米芸能誌ハリウッド・リポーターにコラムを寄稿、「巨匠アレン」故に疑惑に蓋をしてきたとして、メディアを糾弾。アレンの才能にひれ伏すハリウッドのスターたちにも批判の矛先を向けた。

 人権派弁護士・活動家で米政府の顧問を務めたこともあるローナンは、ミア・ファローと事実婚関係にあったアレンの実の息子とされているが、容姿がアレンとまったく似ていないため、ミア・ファローの最初の夫フランク・シナトラの血を引くのではないかとも憶測されている。 「僕は姉の言い分を信じる」――ローナンはコラムでそう断言している。姉の言い分とは、彼の義理の姉、アレンとミア・ファローの養女ディラン・ファローの訴えのことだ。ディランは92年、幼少期にアレンから性的虐待を受けていたとミア・ファローに訴えた。

【参考記事】美少女CGに釣られた児童性愛者たち

 当時、アレンはミア・ファローの養女スン・イーと恋愛関係にあり、ミア・ファローとは破局を迎えて、泥沼の親権争いの真っ最中だった。このときは、ディランの訴えを聞いてミア・ファローがいったんは刑事告訴に踏み切ったものの、その後訴えを取り下げ、アレンは性的虐待では一度も起訴されていない。

力のある監督には逆らえない?

 長い年月を経て、ディランが再び告発に踏み切ったのは14年。アレン監督の映画『ブルージャスミン』がアカデミー賞にノミネートされていた時期だ。ディランはニューヨーク・タイムズ電子版に書いた告発記事で幼少期のおぞましい体験を語り、アカデミー賞の選考でアレン作品に投票しないよう業界関係者に訴えた。

【参考記事】聖職者の手から子供たちを守れ
【参考記事】カトリック教会に盾突いた記者魂

 疑惑がもち上がった当初から、親権訴訟で有利になるためのミア・ファローのでっち上げだとして虐待行為を一貫して否定してきたアレンは、ディランの記事にすぐさま反論した。今回ローナンが問題にしているのは、ニューヨーク・タイムズがアレンの反論にはディランの記事の倍のスペースを割き、しかもより権威ある紙面の目立つページに掲載したことだ。

 有力メディアはアレンのような影響力が大きい人物を敵に回すことを恐れ、虐待などブラックな一面が暴かれても、無視するか、告発の信憑性を貶めるような伝え方をすると、ローナンは批判する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米スナップ、第1四半期は売上高が予想超え 株価25

ビジネス

ロイターネクスト:米経済は好調、中国過剰生産対応へ

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、大幅安の反動で 次第に伸

ビジネス

都区部CPI4月は1.6%上昇、高校授業料無償化や
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中