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米スペースXが米空軍から軍事衛星打ち上げを受注、軍需企業に「風穴」

2年後に打ち上げる次世代GPS衛星の打ち上げ契約を既存の軍需企業から奪い取る

2016年4月28日(木)20時41分

4月27日、米空軍は、全地球測位システム(GPS)衛星の後継機の打ち上げ契約をイーロン・マスク氏率いる民間宇宙企業のスペースXに発注すると発表。スペースXは同日無人宇宙船を18年にも火星に向け打ち上げる計画も発表。写真はスペースXの無人宇宙船が火星に着陸しているコンセプト写真。同社提供(2016年 ロイター)

 米空軍は27日、全地球測位システム(GPS)衛星の後継機「GPSIII」の打ち上げ契約をイーロン・マスク氏率いる民間宇宙企業のスペースXに発注すると発表した。契約総額は8300万ドルに上る。

 米防衛大手ロッキード・マーチンと航空大手ボーイングが合弁事業のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)を通じて10年以上にわたり独占してきた軍事衛星の打ち上げ分野に、注目度の高い起業家が風穴を開けた格好だ。

 米空軍の高官は、GPS衛星が2018年5月にフロリダ州から打ち上げ予定であることを明らかにした。

 また、スペースXは同日、無人宇宙船「ドラゴン」を18年にも火星に向け打ち上げる計画も発表した。

 マスク氏は米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズやオンライン決済サービスの米ペイパル・ホールディングスペイパルの創業を手助けし、火星を目指す安価な宇宙旅行の実現を目指して2002年にスペースXを設立した。

割安な金額も魅力か

 対ロシア制裁の一環としてロシア製のロケットエンジン輸入制限が設けられたことの影響や会計上の問題を理由に、今回、ULAは軍事衛星打ち上げ獲得競争に参加しなかった。

 また、ULAの元バイスプレジデントによると、スペースXの割安な金額提示も一因だという。

 米空軍宇宙・ミサイルシステムセンター司令官のサミュエル・グリーブス中将は「このGPSIIIの打ち上げサービス契約の発注により、ミッションの成功および作戦上のニーズを満たすこと、打ち上げコストの引き下げと、国家安全保障宇宙ミッションに競争を再び導入することの間でバランスを確保できる」と話した。

 スペースXとの契約には、ファルコン9ロケットの製造と宇宙船の結合、打ち上げ業務、宇宙飛行認証などが含まれる。

[ケープカナベラル(フロリダ州) 27日 ロイター]


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