最新記事

日本経済

骨太方針案まとまる、好循環促す政策を重点化、歳出削減活用の仕組み構築

「成長なくして財政健全化無し」として、成長重視のアベノミクス路線を維持

2016年4月26日(火)10時09分

 4月25日、政府は、経済財政諮問会議を開催し、今年の経済財政政策の運営方針となる「骨太方針」の案をまとめた。経済の好循環に資する政策を重点化し、子育て支援や成長戦略、消費喚起策などを挙げた。写真は東京・銀座、2015年8月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

政府は25日、経済財政諮問会議を開催し、今年の経済財政政策の運営方針となる「骨太方針」の案をまとめた。それによると、経済の好循環に資する政策を重点化し、子育て支援や成長戦略、消費喚起策などを挙げ、その財源に歳出改革による削減の成果を充てるため、そうした政策に還元できる仕組みの構築を掲げた。

今年の「骨太方針」案では、600兆円経済に向けて昨年同様実質2%、名目3%を上回る成長を掲げ、引き続き「成長なくして財政健全化無し」というキャッチフレーズを踏襲、成長を重視する姿勢を示した。

重点化政策として、これまで諮問会議や一億総活躍会議、産業競争力会議などで議論されてきた政策を取りまとめ、「結婚・出産・子育ての希望、働く希望」などの実現、「成長戦略の加速」「個人消費の喚起」について詳細な項目を挙げた。

このうち「消費喚起」では、老後の資産形成を支援するため、少額投資非課税制度(NISA)の利便性向上と、投資可能期間の恒久化を検討すること、不動産ストックのフロー化による投資促進や不動産投資信託(REIT)市場の機能強化を挙げた。また、労働力不足が深刻なトラック業界向けに自動隊列走行の早期実現やダブル連結トラックによる省人化の実現、観光需要喚起に向けた欧米豪や富裕層等をターゲットにしたプロモーションによる滞在期間の長期化、休暇取得分散化を目指した「ふるさと休日」の設定なども掲げた。

さらに、「成長と分配をつなぐ経済財政システムの構築」として、社会保障の負担と給付の構造改革や、歳出改革により生まれた歳出抑制の成果を子育て支援等に還元できる仕組みを構築することなどを盛り込んだ。

(中川泉)



[東京 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求 ハマスは

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中