最新記事

タックスヘイブン

「パナマ文書」ショックが拡大、欧州当局が域内銀行を調査

欧州各国の金融監督官庁、警察当局が犯罪行為の調査を開始

2016年4月8日(金)10時08分

 4月7日、流出した租税回避地に関する内部文書「パナマ文書」をめぐり、欧州各国の金融当局は、国内の銀行が関与していないかどうか調査に乗り出した。ロンドンの金融街、2014年撮影(2016年 ロイター/Suzanne Plunkett)

パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したタックスヘイブン(租税回避地)に関する内部文書「パナマ文書」をめぐり、欧州各国の金融当局は、国内の銀行が関与していないかどうか調査に乗り出した。

英金融行為監督機構(FCA)は7日、金融機関20社に対し、15日までにパナマ文書関連の取引に関与していないか洗い出すよう指示した。

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によると、英HSBCとその関連企業は、モサック・フォンセカとともに2300社以上のペーパーカンパニーを設立したとされる。HSBCはオフショアの仕組みを利用して顧客の脱税ほう助したとの見方を否定している。

一方、スイスの検察当局は犯罪捜査に着手した。同国の金融市場監査局(FINMA)はまずは違法行為の形跡がないか調べた上で、調査に乗り出すか決めるとした。

パナマ文書では、顧客のためにオフショア企業の設立を依頼した主要銀行として、スイスのUBSとクレディ・スイスなどの支店が指摘されている。両行はこれに関して不正行為を否定している。

この他、フランス金融健全性監督破綻処理機構(ACPR)は、国内銀行に対し、タックスヘイブンに絡む取引について追加情報を提出するよう指示した。ドイツ連邦金融サービス監督庁(BAFin)も独銀の役割について調査しているもようだ。

スウェーデン、オランダ、オーストリア当局も今週、文書で言及されていた銀行を調査していることを明らかにしている。

[ベルン/ジュネーブ 7日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産が追浜工場の生産終了へ、湘南への委託も 今後の

ビジネス

リオ・ティント、鉄鉱石部門トップのトロット氏がCE

ワールド

トランプ氏「英は米のために戦うが、EUは疑問」 通

ワールド

米大統領が兵器提供でのモスクワ攻撃言及、4日のウク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中