最新記事

タックスヘイブン

パナマ文書、中国の現状を解剖する

2016年4月7日(木)20時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

「パナマ文書」スキャンダル の発端になった法律事務所モサック・フォンセカのロゴ Carlos Jasso-REUTERS

 各国指導層がタックスヘイブンに不正蓄財していることを暴露したパナマ文書が衝撃を与えている。その中に習主席の親戚を始め現在や過去の指導層の血縁者の名がある。件数は中国が世界一とのこと。その真相を追う。

パナマ文書の中にある中国指導層関係者

 パナマ文書に関しては、すでに多くのメディアが報道しているので、今さら詳細な説明は必要ないとは思うが、簡単に要点だけをおさらいしておこう。

 パナマ文書とは国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ: International Consortium of Investigative Journalists)が、税金を逃れるためカリブ海のタックスヘイブン(租税回避地)に世界各国の指導層の一部を含めた富裕層が設立した会社などを暴露した機密文書である。パナマの法律事務所から漏洩したため、その名がある。昨年、匿名人物によってドイツの新聞社「南ドイツ新聞」に通告され、その後ICIJに依頼して、80カ国のジャーナリスト約400名によって分析発表された。それによれば、パナマ文書にはオフショア金融センターを利用する21.4万社の会社の詳細が書かれているという。

 問題は、パナマ文書の中には(以下、敬称略)、習近平の親族を始め、張高麗や劉雲山など現役のチャイナ・セブン(習近平政権における中共中央政治局常務委員7名)の親族、あるいは曽慶紅、胡耀邦、果ては毛沢東の親族までが名を連ねているということだ。

阿波羅新聞網」によれば、それらの関係者の名前は以下のようになる。

1.習近平(国家主席):習近平の姉の夫、トウ家貴が、オフショア会社2社の董事長で株主。

2.劉雲山(チャイナ・セブン、党内序列ナンバー5。イデオロギー担当):息子・劉楽飛の妻・賈麗青(エール大学MBA)が、オフショア会社1社の董事長で株主。

3.張高麗(チャイナ・セブンの党内序列ナンバー7。国務院第一副総理):娘婿の李聖溌がオフショア会社3社の董事長および株主。

4.李鵬(元国務院総理、1987年~1998年):娘の李小琳がオフショア会社1社の董事長および株主。

5.曽慶紅(元国家副主席、2002年~2007年):実の弟・曽慶淮がオフショア会社1社の董事長。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中