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動き鈍る消費エンジン、「プチ富裕層」「爆買い」は購買単価が激減

訪日観光客のインバウンドは客単価の減少を客数増でカバーする状況に

2016年4月2日(土)20時45分

4月1日、国内消費を支えてきた富裕層と訪日観光客の動きが鈍り始めている。年初からの株価下落が高級時計の売れ行きなどに影響、「プチ富裕層」の慎重な消費姿勢が顕著になってきた。写真は東京・銀座、2015年8月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

 国内消費を支えてきた富裕層と訪日観光客の動きが鈍り始めている。年初からの株価下落が高級時計の売れ行きなどに影響、「プチ富裕層」の慎重な消費姿勢が顕著になってきた。

 訪日観光客の免税売上高(インバウンド)は、客単価の減少を客数増でカバーする状況が続いており、消費拡大の原動力になってきた二つのエンジンが変調をきたしている。

 1日に発表された3月の百貨店売上高速報では、各社の宝飾品・時計が前年同月比マイナスとなった。J.フロント リテイリング <3086.T>の宝飾・時計は21%減と大きく落ち込んだほか、高島屋 <8233.T>でも宝飾が6.5%減、時計が4%減となっている。

 高島屋の広報担当者は「百貨店の高額品販売は、株価に対して2―3カ月遅れで連動する。年初からの株価下落により高額品の販売に影響が出ている」と分析する。昨年末1万9000円だった日経平均株価は、年初から荒い値動きとなり、4月1日現在では1万6000円付近で推移している。

 こうした株安の影響は「超富裕層」ではなく「プチ富裕層」に鮮明に表れている。三越伊勢丹ホールディングス <3099.T>の三越日本橋本店では、500万円以上の時計の販売個数は前年同月と同水準だったが、100―500万円の時計の販売個数は2桁減と落ち込んだ。

 三越伊勢丹HDの広報担当者は「基調として、富裕層のマインドが慎重になってきているが、背景などは分析し切れていない」としたうえで、「日本橋店で美術品は60%増。富裕層の消費がどう動くか、2・3・4月が転換点になる可能性も含め注目している」と話す。同社の3旗艦店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の宝飾・時計は3%減となった。

免税売上は客単価減

 消費を支えるもう一方の柱だった訪日観光客による消費は、免税売上高でみると、高額品のまとめ買いから、化粧品を中心とした消耗品へと購買対象が移り、客単価が下落している。三越伊勢丹では、3月の客単価が前年同月比17%減と大きく低下した一方で、客数は30%増と伸び、結果、免税売上高は9.1%増と伸長した。

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