最新記事

金融政策

日銀「5分で読めるマイナス金利」公表、批判相次ぐ政策へ理解を求める

マイナス金利への理解が進まず、期待した効果が発揮されないことへの危機感か

2016年3月26日(土)21時54分

 3月25日、日銀は、マイナス金利政策の一般への理解浸透を狙いにQ&A方式の「5分で読めるマイナス金利」を公表した。写真は金融政策を説明する黒田日銀総裁、2月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

日銀は25日、マイナス金利政策の一般への理解浸透を狙いにQ&A方式の「5分で読めるマイナス金利」を公表した。

日銀では、これまでもホームページに掲載している「教えて!にちぎん」の中で、日銀の役割や業務、金融政策、経済統計など幅広い分野の基礎的な情報を提供してきたが、新たな政策をとりあげて一般層を対象とした平易な解説を作成するのは異例だ。

今回の対応からは、預金金利の引き下げに伴う利息収入の減少や、金融機関の収益減など金利低下による負の側面が強く意識されていることへの警戒感もにじむ。政策への理解が得られなければ、期待した効果が発揮されない可能性があるためだ。

マイナス金利という日本で初めての政策は、その報道量の多さなど「これまでの政策に比べて世間の注目が高い」(幹部)と日銀内でも関心の高さを指摘する声がある。導入以降、黒田東彦総裁も国会に連日のように出席し、マイナス金利政策について説明を求められている。

このため解説では、冒頭部分からマイナス金利政策が導入されても、個人向け預金は別の話とし、先行して導入している欧州では個人預金の金利がマイナスになっていないことなどを紹介。デフレから脱却すれば景気が良くなって預金金利も上がり、銀行にとっても貸出金利を上げられる環境になるなど「みんなのため」と理解を求めている。

最後には「マイナス金利と聞いて不安になってしまったんだよね」との問いに対し、「『マイナス』という言葉の響きも悪かったかもしれません」とネーミングの印象に言及しながら、「この政策はとても強力です。いずれ『プラス』の効果がはっきり出て、明るくなってくると思います」との回答で締めくくっている。

(伊藤純夫)

[東京 25日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍がガザで発砲、少なくとも6人死亡

ビジネス

日銀、ETFの売却開始へ信託銀を公募 11月に入札

ワールド

ロシア、元石油王らを刑事捜査 「テロ組織」創設容疑

ビジネス

独ZEW景気期待指数、10月は上昇 市場予想下回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中