最新記事

座談会

「独立から起業へ」飛躍するために必要なこと

2016年2月29日(月)11時11分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 ぶっちゃけ、スキルは関係ないと思っています。そういうのは、起業してから苦労することのほうが圧倒的に多いので。だから、やっぱり"思い"ですね。業界に対する思いとか、製品に対する思いとか。それが、起業するのにいちばん大切だと思います。

 どんな業界でも10年くらい勤めていれば、そこに関しては、一般の人に比べればプロフェッショナルだと思うんです。そこで、たとえば業界への不満とか、あるいは納得感とか、そういうものがあれば起業の動機になると思うんです。

【参考記事】悪行をやり尽くした末、慈善活動家になった男の話

 すでに課題が見えているんだから、他の人がやるよりもうまくいくはず。そう思えれば、恐れることはないと思います。

中澤 私は、要領の良さが大事だと思っています。学校の勉強はできなくっても、要点をつかむ力がある人、という意味です。たとえばグーグル検索をするにしても、どういうキーワードを入れたらいいかわからないっていう人、結構いますよね。でも、うまくやれば一発で欲しい情報が出てくる。そういう要領の良さを身につけたほうがいいと思います。

 私自身、いつまでも知らないことはいっぱいあるけれど、いまは大体のことはネットで調べられます。調べられないことも、今後なんらかの形で与えられるようになる。そのときに、だれよりも早く欲しい情報をピックアップできて、それをアイデアに変えて、形にしていけるような人、そういう人がこれから新しいビジネスをやっていくには向いているんじゃないかと思います。

長沼 実は、いまの小学生が大学を出て卒業するときには、65%の子どもがいまは存在していない職業に就く、という話があるんです(注:米マッカーサー財団のキャシー・デビッドソン教授がニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに答えた発言――「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時にいまは存在していない職業に就くだろう」)。

 よく大学生と話をしていて思うのは、自分で物語をつくっていく時代になっている、ということです。これまでは、人生のストーリーっていうのは、就職した時点で与えられるものだった。それが、いまはストーリー自体も多様化しているし、自分で選んでつくっていかなくてはいけない。

 だから、若いうちから自分自身のストーリーをしっかりと見つめておかなくてはいけない、そう思います。

加谷 そういう意味で、自分の子どものころの経験で、いまになって大きな影響があったと思うものはありますか?

 僕が小学生のときなんですが、家に帰ったら親がめちゃくちゃ泣いていて、どうしたのって聞いたら、9.11のテロがあったんです。テレビでは飛行機がビルに突っ込んでいる映像がずっと流れていて、僕にとっても衝撃的で、それが強烈に残っています。

 そのときに思ったのは、形ある物ってなくなってしまうんだな、ということでした。最近も大企業が次々に危なくなっていますけど、安心っていう保証はないんだなとわかったんです。

 だったら、人生は一度きりだし、自分のやりたいことをやったほうがいい。そのためのスタートを切るのは、いつだって遅くないって思います。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見...「ペットとの温かい絆」とは言えない事情が
  • 3
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「CT写真」で体内から見つかった「驚愕の塊」
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 8
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 9
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 10
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 10
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中