最新記事

2016米大統領選

アイオワ州党員集会、ルビオ氏躍進で共和党本流に弾み

キューバ系移民の息子を支持した有権者らは、民主党クリントン候補への強力な対抗馬を求めていた

2016年2月3日(水)10時46分

古き良きアメリカの家族を体現?  2月2日、米大統領選に向けた候補者指名争いの初戦となった1日のアイオワ州党員集会では、共和党で3位につけたマルコ・ルビオ上院議員も、強力な勝者といえる。ルビオ氏と家族、同州デモインで1日撮影(2016年 ロイター/Aaron P. Bernstein)

 米大統領選に向けた候補者指名争いの初戦となった1日のアイオワ州党員集会で、共和党はテッド・クルーズ上院議員が不動産王ドナルド・トランプ氏を破り勝利したが、3位につけた同党の本流(エスタブリッシュメント)候補マルコ・ルビオ上院議員も、強力な勝者といえる。

 過去数カ月間、共和党の候補指名争いはクルーズ氏とトランプ氏の焦土戦術が目立ち、より穏健な候補らは苦戦を強いられてきた。

 党指導部が勝者を長く待ち望むなか、1日の党員集会でルビオ氏が上位に浮上した。

 得票率はクルーズ氏が28%、トランプ氏は24%。ルビオ氏は23%で両氏とわずかな差となった。

 ルビオ氏は、最終結果発表後「決して起こらないと言われていたことが今起きている」と述べた。

 候補指名争いは間違いなく新たな局面を迎えた。

 アイオワ州共和党の元政治ディレクター、クレイグ・ロビンソン氏は「三つどもえのレースになっている」と指摘した。

 ロビンソン氏ら同州の政治評論家は、ルビオ氏がトランプ、クルーズ両氏に水をあけられ、おそらく15─18%程度の得票率に終わると予想していたため、ルビオ氏の躍進は衝撃を与えた。

 アイオワ州デモインの共和党ストラテジスト、ダグラス・グロース氏は、同州で3位につけたことはルビオ氏が党の本流である「エスタブリッシュメントの総意を得た候補であること」を示すと指摘した。

 ルビオ氏はアイオワ州での選挙遊説で、クルーズ氏やトランプ氏同様に、過激派組織「イスラム国」や移民問題、医療保険改革法(オバマケア)などについて非難した。

 しかしそれは、より楽観的で開放的なメッセージを通じてだった。

 キューバ系移民の息子として生まれ、米国で育った同氏は、選挙に勝利した場合、初のヒスパニック系大統領となる。

 ルビオ氏はこの週末、党員集会を控えた最後の選挙運動で、「怒りだけでは不十分だ。怒りは計画でも解決策でもない」と有権者に呼びかけた。

 党員集会でルビオ氏を支持した有権者らは、ロイターに対し、同氏のポジティブなメッセージに共鳴したとし、同氏を、民主党の有力候補ヒラリー・クリントン氏に対抗する最も強力な候補とみなしていることを明らかにした。

 アイオワ州クライブのKevin Huerkampさんは「私は実際に変化をもたらしてくれる誰かを探していた。マルコ・ルビオ氏がその人物だと思う」と語った。

 選挙結果によると、ルビオ氏は都市部のデモイン、アイオワ市、ダベンポートで、クルーズ、トランプ両氏を抑えた。このことはフロリダやオハイオなど人口の多い州で今後、ルビオ氏が成功を収める可能性を示唆している。

 (James Oliphant記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)

  

[デモイン(米アイオワ州) 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EBRD、今年の成長見通しを上方修正 関税が脅威

ビジネス

8月百貨店売上高、7カ月ぶりプラス インバウンドの

ワールド

トランプ政権、グリーンエネ補助金130億ドル中止へ

ワールド

アップル、EUデジタル市場法を批判 「新機能遅延・
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 2
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 3
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
  • 4
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 5
    クールジャパン戦略は破綻したのか
  • 6
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性…
  • 7
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 8
    トランプの支持率さらに低下──関税が最大の足かせ、…
  • 9
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 10
    9月23日に大量の隕石が地球に接近していた...NASAは…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 5
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 6
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 7
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 10
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中