最新記事

インフラ

中国鉄道、南米上陸の皮算用

2015年6月22日(月)10時59分
ブリアナ・リー

 いま南米では、インフラへの投資が絶望的に不足している。国連中南米カリブ経済委員会(ECLAC)の推計によれば、この地域のインフラ需要を満たすためには、2020年まで年間約3200億ドルの投資が必要だ。これは域内のGDPの6.2%に相当するが、現状ではインフラ投資に回されている金額はGDPの2.7%にとどまっている。

 中国は近年、融資や投資を通じて南米諸国との関係を深めてきた。1月には、習が10年間で2500億ドルを投資することを約束している。IMF(国際通貨基金)の予測によれば今年の経済成長率が1%未満にとどまる南米諸国も、中国マネーを歓迎している。

 南米横断鉄道は「中国と南米諸国の関係の試金石だ」と、ギャラガーは言う。「環境への悪影響を最小限に抑え、地域コミュニティーの意向を計画に反映させることができれば、高速鉄道はすべての当事者に恩恵をもたらすが、その正反対の結果になる可能性もある」

 環境保護団体や市民団体は、早くも警告を発している。計画されているルートは、アマゾンの熱帯雨林を突っ切り、先住民の居住地域を通るからだ。「過去にブラジルで実施された大規模インフラ事業の例を考えれば、今回の計画がブラジルに好ましいものとは到底言えない」と、
ビジネス・人権資料センター(ブラジル)の研究員ジュリア・メロ・ネイバは言う。

 ブラジルで激しい反発を招いた大規模インフラ事業としては、北部パラ州のベロモンテ水力発電ダム計画がよく知られている。ダム建設に伴う立ち退きについて事前の相談がなく、補償も不十分だとして、先住民が強く抵抗した。その結果、計画に大幅な遅れが生じ、莫大な予算が無駄になった。政府に対する地域コミュニティーの信頼も損なわれた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

経産省、ラピダスへの6315億円の追加支援決定 総

ワールド

宇宙船オリオン、4人乗せ地球に無事帰還 月の裏側を

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、中東停戦維持期待で安全資産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中