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ネパール

地震被災者を激高させた無神経なインドメディア

報道というより支援にあたるインド政府の露骨な宣伝としか思えない

2015年5月14日(木)15時34分
アバニーシ・パンデイ

失意の底で 倒壊した家の瓦礫を片付ける被災者たち Olivia Harris-REUTERS

 地震で甚大な被害が出ているネパールで、ソーシャルネットワークを中心に「インドメディアは国へ帰れ」と、非難の声が高まっている。インドの報道機関の無神経かつ愛国主義的な態度が原因らしい。この大災害をインド政府のための「広報活動」に利用している、と糾弾するネパール人も出てきた。

「インドのメディアとそこで働くジャーナリストたちは、まるで家族ドラマを撮影しているような態度だ」──国外在住のネパール人が書いたインドメディア宛ての公開書簡は怒りに満ちている。「救援物資の届かない場所に行くことができるなら、インドの記者たちはなぜ医薬品や食糧を持っていかないのか」

 被災者に対して「ご気分はいかがですか?」という場違いな質問をしているとの非難や、インド政府による救援活動を誇張して報じているだけだという指摘もある。

 そんな無神経過ぎるインドメディアに腹を立てたネパール国民の間では、「私たちは地震だけで手いっぱい。あんたらにこれ以上私たちの国を脅かされたくない」というツイートも飛び交った。

 先月25日に起きた地震はネパールに過去80年間で最悪の被害をもたらし、犠牲者は8000人に迫っている。まだ救助の手が届いていない地方の山岳地帯の村々に救援隊が到着すれば、犠牲者数はさらに増える可能性が高い。

[2015年5月19日号掲載]

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