最新記事

南米

米キューバ急接近に涙? 南米の中国離れが始まった

キューバ危機から始まった「遠くて近い」関係。中国船拿捕は友好関係の終わりの始まりか

2015年4月6日(月)16時32分
楊海英(本誌コラムニスト)

「革命の父」 キューバの街を彩るカストロの肖像画 Joe Raedle/Getty Images

 今月上旬、コロンビア当局は中国船籍の貨物船を拿捕し、火薬約100トンをはじめ、ミサイルなどに転用可能な「発射体」とその部品99個、砲弾の薬莢3000個などの軍事物資を押収したと発表した。問題の船はコロンビアを経由してキューバの首都ハバナに向かう予定だった。中国外務省は「通常の軍事補給で、国際法と国内法に合致した航行だ」と強弁した。

 カリブ海への武器運搬船の出現で誰もが想起するのは62年10月のキューバ危機だろう。実はこの危機と今回の拿捕は中国にとって、南米との蜜月の始まりと終わりを象徴する事件だ。

 始まりの舞台はハバナ。帝国主義打倒を理念にフィデル・カストロは59年にキューバ革命に成功。彼は当初、北の隣人アメリカを「帝国主義的」とは認識していなかった。革命後、アメリカから経済援助を断られ、外交的にも非礼な処遇を受けたカストロは親ソに傾斜。事態を重くみたアメリカは自国に亡命していたキューバ人を糾合し、にわかづくりの軍隊を61年にキューバ南部の「豚湾(コチーノ)」(ピッグス湾)に上陸させた。カストロ打倒を試みた作戦だ。社会主義諸国の支援を得たカストロは「反革命軍の侵入」を撃退したが、対米関係悪化は決定的となった。

カラシニコフと包囲戦術

 キューバとアメリカとの対立激化を千載一遇のチャンスとみたソ連はキューバに核ミサイルを配備しようと動く。米本土を射程に入れることができる戦略的要衝だ。アメリカも核の反撃を準備し、在日米軍まで臨戦態勢に入った。結局、ケネディ米大統領もソ連のフルシチョフ第1書記も核のボタンを押さず、広島や長崎のような惨劇を人類は避けることができた。しかし、アメリカによるキューバ制裁は徹底的に敷かれた。

 その機に乗じて中国はキューバに「社会主義の友愛の手」を差し伸べ、経済的な連携を強めた。両国間の物々交換により、良質な茶色のキューバ砂糖は私の故郷、中国内モンゴル自治区にも運ばれ、遊牧民のモンゴル人たちが生まれて初めて食べたサトイモもまたハバナ当局が栽培させたものだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南山」、そして「ヘル・コリア」ツアーへ
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 6
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 7
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 10
    「こんなのアリ?」飛行機のファーストクラスで「巨…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中