最新記事

南アフリカ

重篤マンデラの一族が墓騒動で恥さらし

アパルトヘイト(人種隔離政策)を終焉させた英雄マンデラの墓を我が物にしようと争う親族たち

2013年7月17日(水)17時25分
エリン・コンウェイスミス

不肖の孫 マンデラ一族の内紛に火を付けたマンドラ Rogan Ward-Reuters

 南アフリカのマンデラ元大統領が生死の境をさまようなか、一族の「お家騒動」が勃発し、泥仕合の様相を呈している。表面的には一族の墓所をめぐっての争いだが、その核心には誰が家長としての役割を継ぐかという問題がある。

 一族の反感を買っているのは、マンデラの孫マンドラ・マンデラ(38)だ。マンデラの亡くなった子供3人の遺骨を親族の許可なく移動したため、訴訟沙汰にまで発展した。マンドラは先週、記者会見を開き、骨肉の争いについて弁明した。

 警察は先週、マンドラ宅の敷地内から移動された3人の遺骨を掘り起こした。元大統領の存命の子のうち最高齢の娘マカジウェを代表とする親族からの申し立てが認められたためだ。警察によれば、マンドラは現在、「不正改葬」をした疑いで捜査されている。

 マカジウェらによると、マンドラは11年に他の親族の許可なく、また通知すらせずに、3人の遺骨をクヌ村から自分が住むムベゾ村へ移した。今回あらためて掘り起こされた3人の遺骨は、再びクヌに戻された。

 クヌはマンデラが子供時代を過ごした地で、近年もこの村で暮らしてきた。一方、ムベゾ村はマンデラの生誕地で、マンドラは現在その村の長を務めている。マンドラは遺骨を移した理由を明かしていないが、病床のマンデラをムベゾに埋葬したいという思いがあったとみられる。ただマンデラ自身が、死後はクヌに眠りたいと希望していたとも伝えられる。

 首都プレトリアの病院で生命維持装置をつけられた94歳のマンデラは、いまだ危険な状態にある。妻のグラサ・マシェルは容体について、「時に不快感は示すものの苦痛は感じていない」と語っている。大統領府の発表によれば、依然として重篤だが容体は安定している。

 マンドラは記者会見で、親族が自分のことを「私生児」で「権力欲が強くて自分のことしか考えない男」と、メディアを通じて批判したことに反論した。その上で「私は内輪の恥を人前にさらすようなことはしたくないと、声を強めて言いたい」と語ったマンドラ。だがそのすぐ後に、自分の弟ンダバは非嫡出子であり、もう一人の弟ムブソがマンドラの妻を妊娠させたことを暴露した。

 こんな騒動こそ「内輪の恥」をさらしたようなものだ。

From GlobalPost.com特約

[2013年7月16日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英、既存石油・ガス田での新規採掘を条件付き許可へ 

ビジネス

中国工業部門利益、10月は5.5%減 3カ月ぶりマ

ワールド

暗号資産企業の株式トークン販売巡る米SECの緩和措

ビジネス

米ホワイトハウス付近で銃撃、州兵2人重体 容疑者は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中