最新記事

英メディア

ヘンリー王子の全裸掲載は自粛すべきか

米ゴシップサイトが暴露したヘンリー王子「ご乱行」の写真を載せない英紙の深謀遠慮

2012年8月24日(金)17時43分
タリア・ラルフ

油断は禁物 ロンドン五輪の閉会式に臨むヘンリー王子(左)とキャサリン妃 Stefan Wermuth-Reuters

 英王室のヘンリー王子(27)の全裸写真がメディアに流出した騒動をめぐって、英王室が反撃に出た。メディア自主規制団体の報道苦情委員会に苦情を申し立てたのだ。

 報道によれば問題の写真は先週、ヘンリー王子が休暇先の米ネバタ州ラスベガスのホテルで女性と「ストリップ・ビリヤード」に興じ、全裸になった姿を写したもの。

 BBCによれば英王室は22日、写真に写っているのがヘンリー王子であることを認めたうえで報道苦情委員会に対し、王子のプライバシーが侵害されたと申し立てた。

 もっとも、ヘンリー王子の「ご乱行」写真2点を掲載したのはアメリカの芸能ゴシップサイト、TMZドットコムで、イギリスの新聞は今のところどこも掲載していない。いかに「開かれた王室」でも、王族の全裸写真を載せるのは不敬にあたるというわけか。

 唯一の例外は英大衆紙サンで、22日付の1面では同紙記者が全裸で局部を隠すヘンリー王子に扮した写真を大々的に掲載、「ヘンリー、『至宝』をわしづかみ」という大見出しを打った。

 だが記者が全裸になるのは自粛よりバカげていると思ったのか、同紙はヘンリー王子の本物の全裸写真を金曜の紙面に掲載すると発表した。発行人のデービッド・ディスモアは、「世界中の人たちがインターネットで見られる写真が、自国で800万人の読者を持つ新聞で見られないのは馬鹿げている」と、CNNに語った。

電話盗聴スキャンダルの後遺症

 今回イギリスのメディアが意外とおとなしい背景には、昨年イギリスの大手タブロイド紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドが特ダネを取るためにセレブや政治家の携帯電話を盗聴していた事件の影響があると指摘する声もある。

 電話盗聴スキャンダルを受けて、プライバシー保護を望む有名人のリストを作り、リストにある有名人のプライバシーを侵したメディアには制裁を課すという案が浮上した。以来、イギリスのメディアは今にも自由な取材が制限されかねないと戦々恐々としている。

「新聞は自らの影に怯えている。もはや読者がクスリと笑ってしまうようなネタも取り上げようとしない。何の害もないし、誰も新聞やヘンリー王子に悪い感情を抱いたりしないのに」と、ニューズ・オブ・ザ・ワールドの元幹部ニール・ウォリスはトルコのメディアに語った。

 しかし編集者協会のボブ・サッチウェル代表は、新聞の編集者たちはプライベートな場で本人の同意なしに撮影された写真の掲載は認められないという報道規制に従っているだけだとしている。

 当のヘンリー王子は、既にラスベガスでの休暇を終えて帰国している。所属する軍に戻ったら「厳しいお叱りを受けるだろう」と、タイムズ・オブ・インディア紙は書いている。

From GlobalPost.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、為替介入意欲が高まる=副総裁

ビジネス

英2月サービスPMI改定値は53.9、回復続くも雇

ワールド

ハメネイ師の息子モジタバ師が生存、後継候補=関係筋

ワールド

スリランカ沖でイラン船に潜水艦攻撃、数十人救助 1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中