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米偵察機、オーストラリアから中国監視か

南シナ海への足がかりがほしいアメリカと、最大の貿易相手国、中国の挟間で悩む豪政府

2012年3月29日(木)18時21分
フレア・ピーターセン

中国を警戒 配備が噂される米軍の無人偵察機「グローバルホーク」 Reuters

 インド洋に浮かぶココス諸島は、オーストラリアとスリランカのほぼ中間に浮かぶ美しい島々。この地を領有するオーストラリアにとっては、重要な戦略的拠点でもある。ここに、米軍の無人偵察機を配備する計画が浮上した。目的は、南シナ海で活発化する中国軍の活動だ。

 ワシントン・ポスト紙によれば、アメリカのこの要望をオーストラリアも受け入れる可能性があるという。

 アメリカがココス諸島の利用を希望するのは、インド洋のディエゴガルシア米軍基地が手狭になったためとみられる。ココス諸島に空軍基地を置くことができれば、高空飛行の無人偵察機「グローバルホーク」を飛ばすための理想的な拠点となる。

 オーストラリアとアメリカは強力な同盟国であり、昨年11月にバラク・オバマ米大統領がキャンベラを訪れた際には、両国はアジア太平洋地域での防衛協力を強化する方向で合意した。

 だがそれと同時に中国は、オーストラリアにとって最大の貿易相手国。これまでも中国側を刺激しないように細心の注意を払ってきた。

 それでもジュリア・ギラード豪首相は、ココス諸島についてアメリカと協議していることを否定しなかった。

 スティーブン・スミス豪国防相は、ココス諸島の活用案について「長い目で見れば可能性はある」と語る一方、今のところ協議は行われておらず、「オーストラリアが先走りをすべきではない」と釘を刺した。

 また無人偵察機を飛ばすためには、島の空港の滑走路を改良する必要があるとも指摘。「まず十分なインフラ整備が必要であることは、アメリカ側とも合意している」

 アメリカ政府はまた、豪西部のHMASスターリング海軍基地に空母や原潜を寄港させることも考えているという。中国の脅威に対応して軍事力を豪南西部から北東部へシフトする動きの一環とみられる。

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