最新記事

シリア

治安部隊の弾圧で「強制失踪者」が続々

国家による誘拐殺人で1時間に1人が失踪し殺害されるシリア・アサド体制の非道

2011年9月8日(木)14時34分
アナソフィ・フラマンド

その勇気 体制に消される危険を犯してデモを続ける人々(7月29日) Reuters

 シリアでは今、3000人近い国民が治安部隊によって強制連行され、所在不明となっている。真相の究明を求める市民団体アバーズが発表したもので、現状ではほぼ1時間に1人が消えている計算になるという。

 こうした「強制失踪」は、国際法の下で犯罪とされる。先月末の1週間に限っても、シリアでは1000人以上が逮捕され、強制失踪者も増え続けている。イスラムの断食月ラマダンを控え、政府が反体制派への弾圧を強めているためだ。

 国際協定では、強制失踪は「国家またはその機関によって逮捕、拘束または拉致された者で、その所在を当局が明らかにせず、従って法の保護を受けられない者」と定義されている。

 アバーズは国内の有力な人権団体と協力して失踪者の情報を集め、その氏名や顔写真をウェブ上で公開している。「シリア国民は弾圧されても決して屈しないが、国際社会はシリア政府に圧力をかけ、失踪者の解放と民主主義への移行を促してほしい」と、代表のリッケン・パテルは訴える。

 アバーズによれば、7月28日現在で1634人が殺害されており、少なくとも2918人が「強制失踪」の状態にある。

GlobalPost.com特約

[2011年8月10日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

停職中のタイ首相ペートンタン氏、倫理調査の対象に

ワールド

台湾総統、8月にパラグアイ訪問へ 米国経由の可能性

ワールド

ラブロフ外相が中国の習近平国家主席と会談=ロシア外

ワールド

インドネシア、ECプラットフォームに出品者収入の源
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中