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シリア治安部隊の弾圧で「強制失踪者」が続々
国家による誘拐殺人で1時間に1人が失踪し殺害されるシリア・アサド体制の非道
その勇気 体制に消される危険を犯してデモを続ける人々(7月29日) Reuters
シリアでは今、3000人近い国民が治安部隊によって強制連行され、所在不明となっている。真相の究明を求める市民団体アバーズが発表したもので、現状ではほぼ1時間に1人が消えている計算になるという。
こうした「強制失踪」は、国際法の下で犯罪とされる。先月末の1週間に限っても、シリアでは1000人以上が逮捕され、強制失踪者も増え続けている。イスラムの断食月ラマダンを控え、政府が反体制派への弾圧を強めているためだ。
国際協定では、強制失踪は「国家またはその機関によって逮捕、拘束または拉致された者で、その所在を当局が明らかにせず、従って法の保護を受けられない者」と定義されている。
アバーズは国内の有力な人権団体と協力して失踪者の情報を集め、その氏名や顔写真をウェブ上で公開している。「シリア国民は弾圧されても決して屈しないが、国際社会はシリア政府に圧力をかけ、失踪者の解放と民主主義への移行を促してほしい」と、代表のリッケン・パテルは訴える。
アバーズによれば、7月28日現在で1634人が殺害されており、少なくとも2918人が「強制失踪」の状態にある。
[2011年8月10日号掲載]